ジブリなしでも好調だった2012年のアニメビジネスを振り返るアニメビジネスの今(3/4 ページ)

» 2012年12月28日 08時00分 公開
[増田弘道,Business Media 誠]

5月

日にち 内容
3日 第9回マチ☆アソビが徳島市で開催、5万2000人を集客。
14日 東映アニメーションが決算を発表。
23日 JASRAC定例記者会見で国内著作権使用料9位に『ワンピース』背景音楽がランクインしたことが明らかに。

 アニメ制作会社ユーフォーテーブルの近藤光代表の提案で、2009年から徳島市で行われているアニメイベント「マチ☆アソビ」。9回目を迎えて、すっかり全国区の街おこしイベントとなった。1人の情熱によって徳島という町がここまで注目されるようになったということは、もっと賞賛されてもいいだろう。

 東映アニメーションが過去最高の330億円の売り上げを記録。ここ数年、翌年度の目標を下方に置きながらそれを打ち破るということを続けている。2012年度3月期の売り上げは2005年の倍の規模となった。2013年3月期の売り上げも例によって下方にすえられてはいるが、『ONE PIECE FILM Z』があるので更新する可能性はある。

東映アニメーション決算推移

6月

日にち 内容
15日 JRAが人気アニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とコラボした「JRA補完計画」をスタート。16日には映画とコラボしたスマートフォン「SH-06D NERV」の予約受付もスタート。
29日 ロサンゼルスで第20回アニメエキスポが開催。動員数13万人

 ロサンゼルスのアニメエキスポでは、トヨタ自動車とSTUDIO4℃が協業して作ったアニメ『PES』が上映された。トヨタ自動車とSTUDIO4℃の協業は、1月の『009 RE:CYBORG』にも見られたようなアニメと広告の関係が密接になりつつあることの表れだろう。新しい形のスポンサーシップだが、このままアニメを生かした広告が海外にまで広がることを期待したい。

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7月

日にち 内容
7月期テレビアニメスタート。『ソードアート・オンライン』『織田信奈の野望』『探検ドリランド』『もやしもん リターンズ』など。
3日 NTTドコモと角川書店が共同で設立したスマートフォン向けのアニメ配信サービス「ドコモ・アニメストア」がスタート。
5日 パリで第13回ジャパンエキスポ開催。大物監督やスターが続々登場し、4日間で20万人以上を動員。
10日 東京都現代美術館で庵野秀明館長の特撮博物館開催。最終動員は29万1575人でジブリが制作している企画展では歴代3位に。
12日 サンディエゴでコミコン・インターナショナル開催。大物監督や俳優も集まり、3日間で12万人を動員。
14日 『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's』公開、初週の土日興行収入が1億6000万円に対し劇場物販売上2億3000万円を記録。
14日 『おおかみ子どもの雨と雪』公開。
21日 『メリダとおそろしの森』公開。ピクサーとしては最低レベルの興行収入7億5000万円に終わる。

 スタジオジブリ以外のオリジナルアニメとしては、突出した興行収入となった『おおかみこどもの雨と雪』。12月10日時点で41億8000万円ということで、わずかに『コクリコ坂から』(44億6000万円)には届いていないが大ブレイクしたことは間違いない。次回作への期待が早くも高まっている。

8月

日にち 内容
18日 IGポート(プロダクションIG)が決算発表。
25日 さいたま市スーパーアリーナで「アニメロサマーライブ」開催。2日間で5万4300人が来場。
30日 ミュージカル「新生 ROCK MUSICAL BLEACH REprise」スタート。2005年からの観客動員数は15万人以上。

 プロダクションIGの決算を見ると、2009年をピークとして売り上げ、利益ともに伸び悩んでいることがわかる。史上最高の売り上げを記録した東映アニメーションと比べると、やはり作品の著作権保有数が圧倒的に違っているからだろう。両者ともに年間にかかる制作コストはそれほど変わらないが、作品の運用益や著作権がもたらす利益には雲泥の差がある。

プロダクションIG決算

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