グローバル化と国際化ってどう違うの?ビジネス英語の歩き方(1/2 ページ)

» 2013年01月11日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。


 このところビジネスの世界では、グローバル化(=globalization)が大はやりです。グローバリゼーションという英語や、日本企業のグローバル化という言葉が、メディアに踊っています。日々のビジネスの現場でも、グローバル化とかグローバル対応といった話題が日常茶飯になっています。

 ひところ前までは、国際化(=internationalization)という言葉が普通に使われていたのに、なぜインターナショナルではなくて、グローバルなのでしょうか? どっちも国内だけでなく、いろいろな国との関係が深くなるという意味で、大差がないはずなのに。そう感じることはありませんか? 実は、インターナショナルではなくてグローバルが頻繁に使われるようになっているのには、非常にはっきりした理由があるのです。

 インターナショナルには、「国際」とか「国際的」といった、歴史のある日本語訳が定着しています。しかし、グローバルには決まった訳語がありません。あえていくつかのネット辞書を引いても、「地球規模の」とか「世界的な」といった、未熟な感じのする日本語が並んでいるだけです。

 グローバルという言葉の語感には、個々の国を寄せ集めた集合体としての国際社会とか、国と国、あるいは民族と民族の集まりというイメージが、非常に希薄なのです。それよりも地球を1つの塊として、個々の国や大陸、民族の集まりとしてではなく、この地球という星を1つと見る世界観が凝縮されています。

 地球を意味するglobeとearthは、ともに私たちが住んでいるこの星のことではありますが、語感はずいぶん違います。

 globeには、地球儀を見てこの星全体を、自分の視界の中、視野にすべて入れているような感じがあります。それに対してearthの方は、水平線のかなたのその先までずっと続いているこの巨大な星、というイメージがあります。

 英語の語源辞典の多くでは、globeはまず球体を意味し、特に三次元で示された地図という記述がされています。グローバリズムとかグローバル化という表現のもとになっているglobeは、人間たちが目の前にある地球儀を意識し、それを丸ごと実際の地球に当てはめたというところがあります。

 これに対してearthには、15世紀に始まった大航海時代が象徴するように、横に横に、ずっと水平線を見ながら、この星の姿を追い求め、やっと地球は丸いことを確信した、人間たちの認識の歴史が凝縮されています。

 日本語の国際とか国際化という言葉のもとになっているinternationalは、この後者のearthの上に、横にずっと広がって展開しているさまざまな国(nations)がたくさんあるイメージ、それらの国同士あるいは国と国の関係といったイメージです。

 さて、globeとearthとの違いなどを長々と書いて、私は何が言いたいのか? 実は今、進行しつつあるグローバル化は、かつての国際化とは全く違う性質の変化だということを言おうとしているのです。それを理解することは、今日のビジネスで何が起こっているのかをしっかり理解する上で、非常に大事なのです。

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