つば九郎だけじゃない! スワローズが展開するPR戦略(2/3 ページ)

» 2013年01月15日 08時00分 公開
[小槻博文,INSIGHT NOW!]
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スワローズが考えるSNS戦略(Swallows Network Strategy)とは?

 またマスコットプロモーションのみならず、スワローズでは「SNS(Swallows Network Strategy)戦略」をうたうなど、ソーシャルメディアも積極的に活用している。

 「地上波での試合中継の減少などメディア環境の変化はもちろんですが、スワローズ自体の事情も大きな要因として挙げられます。人気球団にはマスコミ1社で複数の担当記者を配置したり、地方球団も地元メディアに大きく取り上げられたりします。しかしそれ以外の球団は担当記者が1人しかいないところも多く、マスコミで取り上げられる量は担当記者の人数と比例するため、どうしても人気球団や地方球団と比較すると報道が少ないのが実情です。従ってマスコミ報道の量で競うのではなく、既存メディア以外の新たなチャネルを開拓しようと考えました」(同氏)

 そうした中で、FacebookやTwitterを始め、さまざまなSNSが日常的に利用される環境が整ってきているのを受けて、新しいコミュニケーションチャネルとしてWeb、特にソーシャルメディアを積極的に活用することにした。

 そしてオンライン施策を行うための仕組み作りとして、2011年はプラットフォームの拡充を、2012年はコンテンツの深化をテーマに進めてきた。

 まずプラットフォームの拡充については、現在オンライン上のチャネルとして、公式サイト、モバイル・スマホサイト、メルマガに加え、Facebook、Twitter、Google+、mixi、YouTubeで公式ページを開設している。これだけ多くのSNSを活用しているのは、プロ野球、いやプロスポーツの中でもスワローズくらいだろう。

 そしてこれらを個別に展開するのではなく、ほかのSNSとの連動が容易なYouTubeやTwitterを活用しながら、公式サイトと各SNSを結び付けることによって、最大限の効果を図ろうと考えている。公式サイトはファン側から能動的にチェックしに来る媒体であるのに対して、SNSはファン側が受動的に情報を受け取る媒体で、それぞれ性質が異なるので、それぞれの媒体特性に合わせて上手く連動させることを意識しているという。

 またコンテンツの深化については、春季・秋季キャンプの映像をほぼリアルタイムでYouTubeにアップしたり、試合ダイジェストや注目選手インタビュー、イベントレポートなどを編集した「つばTUBE」というダイジェストコンテンツをウィークリー配信したりしている。またYouTube Liveで新入団選手発表をライブ中継したり、Google+のハングアウト機能(テレビ電話)を活用して、ファンとつば九郎とのトークライブを行ったりもした。

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 ほかにもライトファン向けには“美人時計”風に予告先発を告知する「Jingu-Cuties」を実施したりするなど、ライトファンからコアファンまで幅広く満足してもらえるようなコンテンツ作りを進めている。

 「SNSで展開しているコンテンツは、いずれもマスメディアでは取り上げられなかったり、取り上げられてもわずかに過ぎなかったりします。しかしWebやSNSを活用することで、ファンへ幅広い情報を確実に届けることができるようになりましたし、アーカイブとして残りますので、いつでもどこでもみることができるというのも大きいですね」(同氏)

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