菊入:知り合いの編集者は、書籍の編集をしながら電子書籍の担当になりました。既存の本をどんどん電子化する作業です。著者に連絡をとって契約書を交わしてという、いわばルーティン作業です。その人はやる気を失いかけていたのですが、ある工夫をしたんですね。どんな工夫をしたかというと、他人に相談した。
土肥:ん? それだけ?
菊入:そう思われるかもしれませんが、やる気がなくなったときに、他人に相談することはものすごく重要なんですよ。その人は知人を通じて、同じような仕事をしている人に話を聞きました。すると「とにかくやるしかない。やりながら仕事を覚えていくしかない」とアドバイスを受けました。そのときは「なーんだ、そんなことか」と思ったそうなのですが、職場に戻って席についたときに「やっぱり、やるしかない」と思ったそうです。
そして、その編集者は机の前にグラフを貼り付けました。今日は何件、今日は何件……といった形でシールを貼っていきました。
土肥:またシールが登場ですね(笑)。
菊入:そのシールはみんなに見えるわけですよ。そして上司がそれを見たときに、その編集者は「シールがいっぱいになれば、フランス料理をごちそうしてくださいね」と言ったそうです。それがまた自分の中のインセンティブになって、やる気につながったそうです。
土肥:小さなことでもやる気につながっていくわけですね。ではこの記事もたくさんの人に読まれたら編集長に「焼肉ごちそーしてくださいよ」と言ってみます(笑)。
菊入:この編集者のように相談したときには腑に落ちなくても、後になってから腑に落ちるケースがあります。また相談することで、相手から気にかけてもらえるようになります。「そういえば、その後どうなった?」といった感じで。自分が気にされている……ということが実感できると、人はやる気が出てくるんですよ。
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