「何だこりゃ?」な電子看板――カシオサイネージって何だCP+で一般初お披露目(1/2 ページ)

» 2013年01月31日 05時20分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 本日1月31日から2月3日まで、カメラと写真映像の情報発信イベントCP+(シーピープラス、参照リンク)が開催される。CP+の主役といえばやはりカメラ。デジカメメーカーはCP+の会場で新製品を展示するが、今年のCP+でカメラだけでなくもう一つの新製品をお披露目する予定なのがカシオ計算機だ。

 カシオが出展予定の「カシオサイネージ」とは、ちょっと変わった電子看板。カシオサイネージはいわゆるデジタルサイネージの一種だが、なんというか、「変」なのだ。

ハンバーガー店の看板
アイスクリーム店の看板

 上の写真はいずれも、1月8日から11日まで米国で行われた、2013 International CESで展示されていたカシオサイネージだ。45.8×53.6×18.7cm(幅×奥行き×高さ)というサイズの箱の上には、ハンバーガーやアイスクリームのキャラクターが光り、口や目を動かしながら「いらっしゃいませ」「今日のオススメ商品は……」などいろいろなことをしゃべる。デモでは英語だけでなく、スペイン語など他の言語でもしゃべっていた。また、箱の前面にはNFCのセンサーがついており、携帯電話をかざすと特定のサイトへアクセスしたり、クーポンを受け取ったりできるという仕掛けになっている。

 一見した感想は「何だこりゃ?」だった。写真だと伝わりにくいが、変なキャラクターが動きながらしゃべるのが実に妙な感じなのだ。しかもキャラクターが少し浮いているようにも見える。しゃべる声はどうも音声合成らしく、なめらかなのだが人間の肉声と比べるとどことなく違和感がある。キャラクターの光りかたもちょっと不思議で、液晶パネルを切り抜いたような、キャラクターそれ自体が発光しているかのような、なんともいえない妙な存在感があるのだ。

なぜカシオでデジタルサイネージ?

 このカシオサイネージは、2012年の11月に発表されたもの。店頭用として作ったもので、店先に設置しておくと、来店者にカシオサイネージが話しかけるという使い方を想定している。同社がデジタルサイネージ事業に参入するのはこれが初だという。

 もともと同社はプロジェクターを生産・販売している。従来の水銀ランプに代わる新しいプロジェクター用の高輝度な光源を開発していて、できたのが「レーザー&LEDハイブリッド光源」だ。レーザー&LEDハイブリッド光源は、水銀を使わないことに加え、ランプを使わないので寿命が長い、というメリットがあった。これまでのプロジェクターは2000〜3000時間程度使用するとランプを交換しなくてはならなかったが、レーザー&LEDハイブリッド光源の場合ランプがないので約2万時間の寿命となるのだ。

 このレーザー&LEDハイブリッド光源を使ったデジタルサイネージが、カシオサイネージである。通常、人間がしゃべっているように見える2次元のサイネージは、スクリーンを人型に切り抜いて後ろから光を当て、動画を映していることが多い。この場合、モデルが体を動かさずに顔の表情だけ動かしている動画を撮影し、それをスクリーンに投影して利用することになる。しかしカシオサイネージでは、光源は下の箱の中に入っており、光を屈折させて箱の上のスクリーン(キャラクターの部分)に投影する。そのため、キャラクターそのものが光っているように見えるのだ。また、口や目が動いているように見えるのは画像処理で、元データは静止画が1枚あれば良いため、モデルを使った動画撮影を行わなくて良い。しゃべることばも音声合成なので、録音などの手間が省けるというメリットがある。

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