しかし、心配は杞憂に終わり、可部線の電化延伸、踏切設置は決まった。この事業は線路設備を国と広島市が実施し、JR西日本が線路を無償で借り受けるという。国が費用を負担するところに注目だ。踏切を設置する事案を国が支援する。これは、国の踏切に対する施策の転換を意味している。ただし、ここには、踏切の安全に対する担保が求められているはず。国を納得させた踏切はどんなものか、開業後の踏切の安全施策に注目したい。
さて、今回の可部線電化延伸、廃止区間一部復活はいくつかの教訓を残した。最大の教訓は「地元の人々の努力と提案力で、鉄道会社や自治体を動かせる。鉄道を復活できる」こと。関係者の功績は称賛されるべきである。
そして、「いったん廃止された路線の復活はとても難しい」「その理由は踏切の扱いだ」という現実も見えてくる。そうなると「鉄道路線の廃止は慎重に検討されるべきだ」という教訓も得られた。鉄道路線を廃止する場合は、路線単位の収支ではなく、区間単位の収支を検討し、きめ細かく対応する必要がある。
可部線の場合、「電化区間と非電化区間の境目だから」という都合で廃止区間を区切ってしまったために、たった1.6キロメートルの復活に10年以上も要したのである。また、将来の復活を望むなら、廃止ではなく休止とするようJR西日本に働きかけておけば、もう少しスムーズに進んだかもしれない。
鉄道路線の存廃について、可部線に学ぶべきことはとても多い。
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なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前がCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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