―― 会員数5000人までのクーポンとストアカードの発行でシステムの月額料金を無料にしたのは、導入を検討する起業にとってインパクトが大きかったのではないかと思います。この場合、実際には初期費用などをふくめて、どれくらいの導入コストがかかりますか。
松田氏 Passbookを導入する店舗や企業がPassを発行するためには、Appleが発行するデベロッパー証明書を取得する必要があります。この証明書を持っていないクライアント向けに、証明書の取得支援サービスを10万円で提供しています。デベロッパー証明書の取得がPassbook導入の最初のハードルになっていることも多く、ここをクリアするサービスを提供することで採用は広がると思います。
また、Passの基本デザインの作成も10万円で請け負っています。このデザイン料は1クライアントあたりの料金なので、チェーン店用にデザインを変えて何枚作っても10万円ですみます。
すでにデベロッパー証明書を取得しており、CORE PASSソリューションが備えるカード作成機能を使って自社でPassをデザインする場合は、初期費用も月額利用料も会員5000人まではかかりません。
―― 複数枚のPassをまとめて発行/更新する機能は、どんな店舗の役に立つのでしょう。
松田氏 この機能はクライアントのニーズが多かったことから、ブレスサービスに実装してもらったもので、チェーン展開している店舗向けのサービスです。例えばドクターシーラボは全国で約150店舗を展開していますが、それぞれの店舗向けのPassを発行する場合、多くのソリューションでは1店舗ずつ更新しなければなりません。CORE PASSなら個別の更新はもちろんのこと、一括での登録/更新にも対応しています。
―― ソフトバンクグループは、Passを拡散するために自社メディアをどのように活用しているのですか。
松田氏 Yahoo!Japan内にあるアイポータルで紹介しているほか、ソフトバンクファンサイトなどで告知しています。現状ではユーザーがPassを見つけづらいため、ソフトバンクファンサイトをPassのポータルサイト化し、ここで新しいPassの情報を配信していく予定です。
―― ソフトバンクモバイルが展開するほかのO2Oソリューションとは、どのような住み分けになりますか。
松田氏 ソフトバンクグループが展開しているO2Oソリューションとしては、我々の部門で開発した「とくするクーポン」アプリや、Yahoo!Japanとソフトバンクテレコムが共同展開している「ウルトラ集客」などがあります。これらのサービスは、主に新規顧客を開拓することに主眼を置いたものであり、「ファンをつかみ、ずっとファンでいてもらうための情報をダイレクトに届ける」というPassbookとは目的が異なります。その点は企業側にも理解されているようで、両方を採用いただいている企業も多いのです。
―― 今後、システムをどのように改善していく計画ですか。
松田氏 現状では、発行したクーポンが“いつ、どこで使われたのか”といったコンバージョン情報をCORE PASS側で取得することができません。店舗側のPOSシステムがあれば補完することはできますが、そういう仕組みのない小さい店舗では難しいのが現状です。この機能への対応については、システム投入当初から視野に入っており、2013年度中にはコンバージョン情報を取得するための仕組みを実装する計画です。
また、現在は店舗の「ストアカード」と「クーポン」のみの対応ですが、2013年度中にはポイントカードにも対応する予定です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング