英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。
2015年の国家公務員上級職の試験にTOEFLが使われるようです。これは米国の大学、大学院の入学資格の1つとして外国人に受験が課されているもので、グローバル化に向きあう力を養うには確実にプラスになるでしょう。漢文の「素読、読み下し文」に似た方法で行われてきた日本の英語教育が、「使える英語」にまた一歩動くきっかけになりそうです。
ところでビジネス英会話では、相手からいきなりファーストネームで呼ばれることがよくあります。日本人には、このファーストネームで呼び合うという習慣が、どうもしっくりきません。
同じ日本人が外国人と「Hi、ミッシェル!」などとやりあっているのを、いかがなものかと思ってしまうのが日本人というもの。軽々しく相手のファーストネームで呼び合うのは若いうちだけにして、相応の年齢になったら「鈴木さん」「スミスさん」などと、姓に敬称を付けて呼ぶのが大人のやり方という感じがするからです。
しかし首相時代の中曽根康弘さんではないですが、当時のロナルド・レーガン大統領と「ロン」「ヤス」と互いのファーストネームで呼び合ったほうが、ビジネスも外交もうまくいくようなのです。欧米に合わせるしかないのでしょうか?
中国人や韓国人は、クリスチャンでなくとも、勝手に欧米、特に英語のファーストネームを使います。ジャッキー・チェンやトニー・レオン(梁朝偉)などは、すっかり定着していますが、普通の中国人でもミシェルとかクリスといったポピュラーなファーストネームを使っている人がたくさんいます。
一説には、中国語名は欧米人にとって姓と名の区別がつきにくく、欧米風のファーストネームを使ったほうが便利という事情があるというのですが、理由はよく分かりません。韓国も似たような状況です。
日本人は、中韓のこうした傾向に違和感を持つわけですが、いまやこれは流行というか、1つのスタイルとしてマレーシア、インドネシア、タイなどにも広がっています。結果、5つくらいの違う国の人が集まって会議をすると、日本人だけ「さん」づけで、他はみな英語的ファーストネームということがよくあります。どうにも浮いた感じです。
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