土肥:今年の3月は暖かかったですよね。東京では例年よりも早く、桜が開花していました。でも4月は風が強く、寒い日が続きました。このようなときにはどのように対応されるのでしょうか? 「お! 17度を超えたから、じゃあコールドを売ろうーっ」とか「うわっ、17度を割り込んだので、今度はホットを投入だーっ」といった感じなのでしょうか?
笹川:先ほども申し上げたとおり、基本的には気温予報を見て計画を立てています。でも3月の気温は、予報よりもはるかに高かった。なので、一部の自販機ではいつもの年よりも早めにコールドを投入しました。結果的に、3月の売り上げは好調でしたが、4月はコールドの投入を早めた影響もあって、苦戦しました。
土肥:そのへんの判断って難しいですね。
笹川:難しいです。なのできちんと計画を立てて進めないと、道を誤ってしまうんですよ。「三寒四温」という言葉があるように、このシーズンの気温はコロコロ変わります。暖かくなったからといって、それが続くかどうかは分かりません。気温の変化は過去の気象データからも明らかになっているので、私たちは惑わされてはいけないんですよ。
土肥:ひょっとしたら気の短い人は、笹川さんのような仕事は向いていないかもしれませんね。例えば、ちょっと暑くなったからといって、家の毛布をしまってしまう人は(笑)。たぶんそういう人は「暑い、暑い。コールドを投入しよう!」とすぐに判断してしまいそう(笑)。
笹川:私も毛布をしまってしまいましたねえ。暑いからもういいや、と思ったのに、寒くなったので、また押入れから出してきて……。
土肥:ハハハ……ん? ということは、笹川さんこの仕事に向いてないんじゃないですか?(失礼)。
笹川:あ、だからですね、あの、その……きちんとデータを見てですね……。自分の感覚だけで判断しないように、心がけているんですよ(汗)。
土肥:仕事は冷静に……ということですね。一方、暑いときにはどうなんでしょう? 例えば「25度になると、コールドしか売れない」といった傾向があるのでしょうか?
笹川:基本的には気温が上がれば上がるほど、自販機の売り上げはアップします。夏場は暑くなるのに合わせて品ぞろえをどうするか、ということよりも、売り切れをなくすことを優先させています。1台の自販機で売れる数は限られているので、どんどん売れると欠品してしまう。1日に何度も何度もエキナカに商品を補充しに行くわけにはいかないので、補充するタイミング、頻度を重視していますね。
土肥:「今年の夏は猛暑」といった予報がでると、手放しで喜べるわけですね。
笹川:うれしいなあと感じるのですが、予報は必ずしも当たるわけではありません。そこはやはり冷静に対応しなければいけないんですよ。もちろん外れることを前提にしているわけではありません。何度も言いますが、早い段階から計画的に動くことが大切。あまり一喜一憂せず、その場・その場で対応しないようにすることですね。
土肥:でも家の毛布は?
笹川:しまってしまう(笑)。
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