そんな才気あふれるローズオニールさんにも悩みがあった。それはパクリである。
遠く離れた異国の地で、ローズオニールさんが丹精こめてつくった「キューピー」の人形をつかって勝手に商売したり、商標登録したりという不届きな連中がいたのだ。
そう、我々日本人だ。司馬遼太郎のファンなんかからすると受け入れ難い事実だが、当時の日本は今の中国とよく似ていた。
本家が上陸する前に「AKB48」とか「クレヨンしんちゃん」の商標登録を済ませて荒稼ぎしようという中国人同様、多くの日本人が「キューピー」の人形やらをパクって商売していたのである。
ご存じのマヨネーズ屋さんをはじめ、リウマチ薬やら、腹痛の薬、からしのイメージキャラなど、ありとあらゆるものにキューピーが使われた。それだけではない。子供服、ぬりえ……「きゅーぴーさん」なんて曲までつくられる。まさに無法地帯だった。
ホフマンさん同様、ローズオニールさんも法的措置を辞さないということで、日本向けに警告広告も出したが、「アヒルちゃん」同様、焼け石に水だった。
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