小沢: AISASに戻ります。例えば、ほとんどのマーケティング活動がオフラインで行われ、最後にFacebookでシェアさせるだけであってもデジタルマーケティングなのでしょうか?
高畑: そうです。そういう設計をして、それが作戦であればデジタルマーケティングです。
小沢: 例えば、アテンション(注意喚起)やインタレスト(興味)を担う交通広告やテレビCMのプロフェッショナルである広告担当者がいて、サーチの部分ではSEM(サーチエンジンマーケティング)のスペシャリスト、アクションの部分ではWeb解析やテストのプロ、そしてシェアではソーシャルマーケティングのプロがいる。
つまり日本のデジタルマーケッターはサイロ化というか縦割りになっています。マーケティング活動のどこかに少しでもデジタル要素が入っていれば、その全体がデジタルマーケティングになるのだとすれば、CMO(最高マーケティング責任者)の存在が必要になってくるのではないでしょうか。
いま、日本にはCMOが不在だといわれています。そこで質問です。CMOは日本企業でも作れますか? 作るとしたら、どう作りますか?
甲斐: ユナイテッドアローズさんの話を例を挙げて説明するのと分かりやすいかもしれません。最近、雑誌やセミナーなどでO2O(オフラインからオンライン)の話をよくされています。でも「アプリを使って売上を伸ばした」といった話ではありません。
それは「2つの統合だ」というのです。ひとつは在庫の統合。支店とネット店、つまりリアルな店舗とネットの店舗で在庫を分けていたのを統合したそうです。もうひとつは組織の統合です。以前はネット部署というところが分かれていたそうです。現在では、各ブランドごとにネット担当を置いて、部署を横串にしている。そうした組織の統合によって、ユナイテッドアローズのO2O活動がスムーズになってきたそうです。
これは「あ、まさにそうだな」と思いました。ネットと従来の事業部を隔離したままでは、オンラインとオフラインをうまくつなごうとしたって無理なのです。人間あるいはモノがつながった組織運営をしないとなかなか融合しないし、その先にCMOという人材が出てくるんじゃないかなと思っています。
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