ところがこういった好評価にもかかわらず、現実には、日本人が現地の人と交際するケースは決して多くありません。
壁となっているのはやはり言葉の問題です。渡航前にその国の言葉をある程度身につけている場合は別ですが、そうではない場合は働きながらの語学習得にかなりの時間がかかるため、しばらくはなかなか声もかけづらいというのが実際のところ。言葉の基礎がないまま蛮勇をふるってチャレンジしてみても、関係が交際にまでたどりつかないか、たどりついても長続きしないことがほとんどです。
唯一の例外は中国で、この国には「日本語を話す中国人と日本人」というカップルが珍しくありません。というのも、中国には日本語学科を設置する大学が400校以上あり、日本語を話せる人が非常に多いからです。
最もよく見られるのは、日本人同士が現地で出会い、それが交際や結婚に発展するというパターンです。同郷意識が高まる海外では、同じ日本人という安心感によって、異性間の距離も縮まりやすいのかもしれません。
もちろん言葉の壁をクリアして、現地の人と結ばれたという日本人もいらっしゃいます。興味深いのは、そういう人たちの中には現地で会社を立ち上げたり、お店を開いたりと、独立独歩の生き方をしている人が目立つことです。
現地の人をパートナーにすると、ビジネスを展開する上でアドバンテージがあるのは間違いありません。例えば、パートナーを法人代表にすると国内企業が設立できるので、準備する資本金額が下がったり、外資には規制されている分野にも進出できたり、さまざまなメリットがあります。このほかにも、「パートナーが現地人だと、人脈の形成がしやすい」(中国でデザイン事務所を経営する30代女性)、「地元で話題になっている情報への感度が上がる」(中国で不動産仲介業を営む30代男性)、「現地の考え方、ビジネス感覚などが暮らしの中で理解できる」(ベトナムで広告関連会社を営む40代男性)といった目に見えない財産がビジネスに生きてくるようです。
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