タックスヘイブンに流れる日本の「税金」を取り戻せ伊吹太歩の世界の歩き方(2/5 ページ)

» 2013年07月18日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

スイス議会は米国の顧客情報開示要求に屈せず

 ちなみに顧客情報を厳しく守秘するスイスは、米国からここのところ再三にわたって米国人の口座情報を出すように圧力をかけられている。米当局は、脱税している可能性がある米国人を調べて、きっちり米国で納税させたいのだ。

 しかし2013年6月19日、スイス議会は米国人の口座番号を提供する法案を否決した。厳しい圧力にスイス政府は法案を提出したのだが、スイス議会は屈しない。スイス政府は圧力に負けて少し情報を出したといわれるが、こちらもスイスにとっては死活問題だ。

 日本や米国は、本来受け取るべき税収を回収しようとしているだけ。日本も莫大な金額を「失って」いるが、米国もそれは同じ。米CNNは2012年、「世界の資産家が租税回避地(タックスヘイブン)に隠した金融資産の総額は2010年末の時点で推定21兆〜32兆ドル(約1650兆〜2500兆円)に達し、米国と日本の国内総生産(GDP)を合わせた規模以上になるとみられる」と報じている。

 また最近、あの有名企業も、タックスヘイブンがらみで話題になった。米アップルだ。手口は、アイルランド政府と法人税率を2%以下にすると合意し(通常は12・5%)、アップルが同国に設立した子会社に利益を蓄えていた。結果として、米国の法人税を脱税していたと米議会から指摘されたのだ。

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