孤独死とブラック企業――。一見するとまったく関係ない2つの事象だが、人間を追いつめていくプロセスはよく似ている。
心身ともにギリギリに追いつめられていつ倒れてもおかしくない状況なのに、歯を食いしばってがんばってしまう。いや、何かの力によって「がんばろう」という方向へ仕向けられている、と言ったほうが正しいかもしれない。
なんてことをぼんやり考えていたら、ふと今月完成式典があった「奇跡の一本松」が思い浮かんだ。
東日本大震災の津波で、高田松原7万本のなかで唯一耐え抜いた松の木のことだが、正確には、この一本松はもうこの世には存在しない。
津波の激流に倒されることはなかったが、その後の海水が根などに染み込んで、松の木としては死んでしまったのだ。それを一度バラバラにして、内部に防腐処理を施したり、金属棒をとおすなどしたりして、1億5000万円かけて復元した。
要するに、先日お披露目されたのは「奇跡の一本松」(関連記事)の「はく製」である。
なんてことを言うと、被災地を勇気づけた「復興のシンボル」にケチをつけるのかと思われるかもしれないが、そういうつもりはない。
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