楽天・田中将大の「10倍返し」――常に意識するのは『超向上心』臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2013年08月08日 07時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

田中が常に心に秘めている「超向上心」

 「現状に甘んじることは絶対にしたくないですね。どんなにいい成績を残しても、それはゴールじゃない。その上があるはずじゃないですか。向上心……、いや『超向上心』を失ったらいけないなと。それは常に心がけていますよ。だから、もし不完全燃焼の形で終わってしまったら、それは、なおさらですよね。『絶対にはい上がってやるぞ、10倍返しにしてやるぞ』って、そんな気持ちです。もしかしてボクは究極の負けず嫌いなのかもしれませんね」

 田中は自分の持つ「超向上心」について、このように打ち明けた。この言葉をヒントに思い起こしてみると……。エースとしてサムライジャパンの代表メンバーに招集されながら、まったくと言っていいほどに活躍できなかった2013年3月の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での体たらくは明らかな「不完全燃焼」であった。

 WBCで4試合に登板しながら無失点に抑えたのは、わずか1試合。リリーフで投げたオランダ戦(3月12日、東京ドーム)だけだった。同14日のサンフランシスコ・ジャイアンツとの練習試合も先発して2回を投げ3安打1四球1失点。同20日の決勝戦に勝ち進めば先発としてマウンドに立つことが決まっていただけに最後にビシッと抑えて汚名をそそぎ、有終の美を飾ろうと腕を撫(ぶ)していたにもかかわらず、チームは準決勝でプエルトリコに敗れ、リベンジの機会も失ってしまった。

 その田中とは対照的に同じサムライジャパンで株を上げたのが、広島の前田健太だ。3試合15イニングを投げてわずか1失点で防御率0.60、さらには大会最多となる18奪三振をマーク。前田健は主催者側からWBCオールスターチームの投手部門にも選出された。

 「田中は相当に悔しがっていた。WBCからチームに戻ってきてからも『何もできないまま終わってしまったし、投げ足りない。ただただ自分が情けないし、悔しい』と、ずっとつぶやいていましたからね。同い年でライバルのマエケン(前田健)が高評価されたのも悔しさを増長させたようです。春先は例年、なかなか調子が上がって来なかったから、今年のWBCはかなり調整が難しかったとは思う。ただアイツは『それは言い訳です。この屈辱は、自分の手できっちり払拭しますから。このままじゃ終われません』ともハッキリ言っていましたよ。憧れのメジャーリーグに自分のピッチングをアピールできなかった悔しさもありましたから」とは楽天のチーム関係者のコメントだ。

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