連載
» 2013年09月10日 07時00分 公開

損益計算書は何のために作るのか?社長のための「非常識な会計」のルール(2/3 ページ)

[村形聡,Business Media 誠]

中小企業に「報告」はいらない

 「期間損益計算」「発生主義」「費用収益対応の原則」は、いずれも深い意味を持っています。

 企業は、永遠に事業を続けようとしていますから「期間損益計算」というルールがなければ、いつまで経っても利益を計算することができません。

 現代の株式会社の仕組みからすれば、多くの投資家は、儲けの一部を配当してもらうことを期待して、株主となって企業に投資をしてます。しかし、いつまでも利益が計算されなければ、いつまでも利益配当がないということになり、これじゃあまるで詐欺に遭ったような気分になってしまいます。

 だから、少なくとも1年に1回は利益を計算して「今年はこれだけ儲かりましたから、これだけ配当しますね」とか、「今年はこの程度しか儲からなかったんで、配当はできないんです。ごめんね」なんていう報告をしてあげないとダメなのです。

 しかも、投資家というものはいつでもよりよい出資先を探していて、現在の投資先よりも利回りのいい投資先を見つければ、株を買い換えてしまおうと考えています。

 なんとも虫のいい話ですが、現代の株式会社というのは、こういう虫のいい投資家に支えられて大きな事業をやっているわけですから、投資家を保護する必要があります。そして、投資家がいろいろな会社の業績を比較しやすいように、利益計算の方法についても、「発生主義」とか「費用収益対応の原則」といったルールを設けて、すべての企業に、このルールを守らせる必要があるのです。

 そして、ここが肝心なところですが、結局のところ会社の利益計算というものは、株主のために、業績についての報告を行わせることが最重要のテーマとなっているのです。会計ルールそのものも、この「報告」という目的のために作り上げられたものなのです。

 ところで中小企業の社長のみなさん、あなたの会社にこんな「報告」なんて、本当のところ必要だと思いますか? あなたの会社に利益の分配を期待して投資してくれている投資家がどれだけいますか? ひょっとして、社長のあなただけが投資をしていませんか? 百歩譲っても、あなたの会社の株主は、社長の親族か、ごく親しい友人しかいないんじゃないでしょうか?

 そうなんです。現行の会計ルールが目指している投資家保護っていうのは、上場企業のようなごく一握りの会社の都合によるものです。我が国のあらゆる企業の数に対して、上場企業の数なんて、たったの0.2%。上場していない会社でも、多少は第三者からの出資を受けているケースがあるでしょうが、そういう会社を含めたところで、残りの90%以上の会社にとっては、「報告」を前提とした会計ルールなどほとんど必要もなく、役にも立たないことになると思いませんか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -