「ジブリ男子」ってどんな人?――データから見るペルソナ図鑑消費者理解コトハジメ(1/3 ページ)

» 2013年09月16日 07時00分 公開
[大久保惠司,Business Media 誠]
誠ブログ

 スタジオ・ジブリの映画「風立ちぬ」はもう観ましたか? この作品がベネチア映画祭に出品された際、宮崎駿監督がこの作品を最後に引退するというニュースが流れてきました。びっくりした人、「ああ、またか」と思った人、それぞれの反応があったと思います。でも、先日記者会見を開き「今回は本気です」と語ったところを見ると、今までとは違うかも、と思った人も多かったのではないでしょうか。

 宮崎駿監督は、1984年公開の映画「風の谷のナウシカ」で注目されて以降、スタジオ・ジブリを設立。その後公開された「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」は発表時の興行収入こそふるわなかったようですが、発表してしばらく経ってから人気が急上昇。その後、「魔女の宅急便」以降の作品は、興行的にもヒット作を連発しています。

 引退会見の記事を見ていると、引退するのは長編アニメということで、創作活動の継続については静かに意欲を語っています。最も印象的だったのは「やりたいことはあるんですけれども、やれなかったらみっともないからいいません。それから僕は、文化人になりたくないんです。僕は町工場のおやじ。それを貫きたいと思っています。文化人ではありません」という言葉です。宮崎駿さんらしいと思ったし、とても共感しました。

 と、言うわけで、今回はスタジオ・ジブリ作品ファンの男性について見てみることにしました。

ジブリ作品を好んでいる男性

 シングルソース・消費者パネル「ぺるそね」※では、3万人の150問にわたるアンケートデータが登録されています。その中には好きなアニメ作品という項目もあり、そこには、スタジオ・ジブリの作品も入っています。「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「天空の城ラピュタ」「風の谷のナウシカ」「魔女の宅急便」です。

※シングルソース・消費者パネル=同一のサンプルから多様な情報を採取した消費者データのことで、多数の項目を組み合わせたクロス集計が可能。

※ぺるそね=約3万人の消費行動データをもとに、ターゲットとなる人々のライフスタイルを読み解けるナレッジベースサービス。データは2012年6月調査のもの(n=3万1444)。

参考:消費者パネル・シングルソースデータ系サービス 調査のチカラ


 それでは、ジブリ作品を好きな男性を探してみましょう。検索条件は、性別は男性、「ぺるそね」に登録されているすべてのジブリ作品にチェックを入れている人、としました。この条件で検索すると該当者が590人います。この590人を「ジブリ男子」と定義し、男性全体(1万5269人)と比較してみました。

 年齢は男性全体よりやや若く、そのため既婚率や有子率、平均世帯年収ともに男性全体よりやや低くなっています。年代は幅広いのですが、30〜34歳と50代がやや高くなっています。

 世帯年収は平均は男性全体よりやや低いものの、500〜600万円がトップボックスでした。男性全体のトップボックスは300〜400万円ですので、これよりも高くなっています。平均世帯年収が低いのは800万円以上の高額世帯の比率がやや低いことが要因と考えられます。

 お小遣いの平均もやや低く出ていますが、トップボックスは3万〜5万円で男性全体と同じ傾向です。職業を見てみると、男性全体と大きな変わりはないため、暮らし向きは現時点での中流層の人たちと言えそうです。

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