土肥:例えば、テレビでスニーカーの広告を見て「お! これいいな!」というのが、認知や関心にあたりますよね。実際にお店に行って、見て・履いてみることが検討。そしてそれが気に入ったら買う……つまり行動ですよね。
國田:はい。しかし情報量が膨大に増えた今、そんな行動パターンをする人が減ってきました。テレビのCMを見ても、あとからどんどん情報が入ってくる。記憶が“上書き”されてしまうので、印象が薄くなってしまうんですね。認知がとれても、最終的な行動にたどりつく人の数が減っています。
このほかにも昔に比べ人の興味が細分化されていたり、デジタル行動へのシフトが進んだり、といった問題があります。こうした問題を解決するにはどうすればいいのか。従来型の認知から入るのではなく、行動から入ればいいのではないか。一度行動すると、人と商品(ブランド)の結びつきは強くなる。企業にとっては、お客さんにそうした行動をしてもらうことが重要になってくると思っています。
土肥:うーん、少しモヤモヤしてきました。理屈は分かるのですが、人間ってそんなに簡単に動きますか? 靴屋に行って、いきなり「このスニーカー、ください」と注文する人なんて、ほとんどいないですよ。
國田:もちろんです。なぜなら、そこに人を動かすツボが存在していないからですね。
土肥:それはどんなものですか?
國田:私たちの研究所では過去のデータから、人を動かすツボにはどんなものがあるのかを調査してきました。その結果、いくつかの典型的なパターンがあることが分かりました。人を動かすツボとして、現在18のパターンを紹介しています。人の行動原理を考えるともっと多くのパターンがあるはずなので、今後も研究を進めていく予定です。
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