「アクションリーダーの『知りたい!』に応えるオンラインビジネスメディア」を統一コンセプトとして、9月2日にリニューアルしたBusiness Media 誠 & 誠 Biz.ID。これから数カ月間、リニューアルを記念して、スペシャルインタビュー企画を掲載していきます。
本企画では、Business Media 誠編集部と誠 Biz.ID編集部がそれぞれテーマを決めてインタビューや対談を行います。Business Media 誠では「アクションリーダーに会いに行く」、そして誠 Biz.IDでは「時代の変化に合った働き方」をテーマに、さまざまな識者の方にお話を聞いていきます。
→リニューアル記念企画「これからの働き方、新時代のリーダー」バックナンバー
2013年の流行語ともなった「ブラック企業」。度を超した長時間労働や厳しすぎるノルマなど劣悪な環境での労働を強い、残業代も支払われない、従業員を使いつぶすような企業のことだ。
12月1日、2015年卒業予定者の就職活動が解禁になった。今の就活生にとって最も恐ろしいのは「ブラック企業に入ること」。非ブラック企業に入りたい、できればさらに労働環境のいい“ホワイト企業”に入りたい――そう願う学生たちにとって、非常に気になるタイトルの本、その名も『ホワイト企業』(文藝春秋)が話題になっている。
労働環境がブラックではない企業、いうなれば「非ブラック企業」はたくさんあるが、その中でも特に優良な25社、すなわち「ホワイト企業」を詳しく紹介した本である。紹介されている企業は誰もが知っているような大企業から、知る人ぞ知る地方の中小企業までさまざまだ。
『ホワイト企業』を監修したのは、経済産業省、経済社会政策室の女性室長である坂本里和さん。坂本さんは東京大学法学部を卒業して平成7年に通商産業省(当時)に入省。繊維の通商問題や、商品取引所法の改正、JIS・ISOの認証政策などさまざまな業務を担当。2011年6月からは経済社会政策室で、女性の活躍推進やダイバーシティ経営の推進を進めることで日本の経済活性化を目指すというプロジェクトに取り組んでいる。
実は坂本さん自身も、複数回の産休・育休を経て、4人の女の子を育てながら働いてきたワーキングマザーであり、同時にワーキングマザーを含め、省内でも女性比率の高い室をマネージする管理職でもある。「従業員、特に女性社員から見ても、働きやすく、そして活躍しやすいホワイト企業は今後も成長が期待できる」と坂本さんは話す。ホワイト企業はなぜ伸びるのか。そしてホワイト企業で働きたい人はどのようにそのような企業を探せば良いのか? 自社がホワイト企業になるにはどうしたら? という観点で、前後編に分けて坂本さんに聞いていく。聞き手はBusiness Media 誠編集長の吉岡綾乃。
吉岡: 経済産業省が監修した本『ホワイト企業』を読みました。今年の流行語ともなった「ブラック企業」に対しての「ホワイト企業」なのかな、とは思うのですが、そもそもホワイト企業とはどういうものなのでしょうか?
坂本: 最近、経産省の中でも「少子高齢化への対策と、日本企業を強くしてイノベーションを起こしていくという2つの観点から、多様な人材の1つとして女性の活躍推進にもっと力を入れていかなくてはいけない」という機運が高まってきました。それを受けて2012年度から経産省では、「ダイバーシティ企業100選」(参照リンク)という、大臣表彰の事業を始めたんです。
吉岡: ダイバーシティ企業100選とは、どのような事業なのでしょう?
坂本: 女性や外国人などさまざまな人材の活用を進めること、それを企業の経営戦略として行うことをダイバーシティ経営といいます。グローバル企業だと当たり前なのですが、日本ではなかなか進んでいません。これを福利厚生としてだけではなく、企業を伸ばすための経営戦略として進めている企業、企業価値を向上させることができた企業のベストプラクティスを集めて発表する、という企画です。
昨年度選ばれた43の企業を見ると、育休や産休など各種の制度が整った大企業だけではなく、地方の企業や中小企業もたくさん入っています。「ダイバーシティ」という言い方はしていないながら、人材活用の試みが非常に先進的で、取り組んでいることはまさにダイバーシティ、という中小企業も、実はたくさんあることが分かりました。第1回目の表彰式は2013年3月に行われたのですが、そのときパネリストとして来ていたある女子学生が、受賞企業の紹介をずっと見たあとにポロッと「ブラック企業の話をたくさん聞かされて恐れていたけど、こんなに『ホワイト』な企業がたくさんあるということが分かりました」と言ったんですね。これが、『ホワイト企業』という本のタイトルのきっかけなんです。
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