ランは自分より上の世代の「これ見よがしの消費」を快く思わず、仕事に金銭以外の報奨を求める。大きな目的を果たすことに打ち込み、使命に向けて邁進する人生を送りたいと願っている。そのモチベーションはどこから来るのか尋ねると、彼女は一呼吸おいてから、1人っ子政策のもと、核家族で育った生い立ちについて語った。自分の世代を、兄弟姉妹がいないせいである種の喪失感を抱えた「根無し草」と表現する。「わたしたちはとても寂しいのです。兄弟姉妹も、コミュニティも持たないですから」。
ランの夢は、自分の働きによって、利益と大義をともに追求する独立系企業の価値が世の中に伝わり、グリーノベイトの成功がWeb上で話題になることである。そうすれば、社会的企業の増加に弾みがつくだろう。ランはまた、中国をよりよい国にしたいと考える人々は、政府の許可が下りるのをただ待つのではなく、思うままに活動できる空白地帯を見つけるだろうとも言う。中国社会ではすでに、このようなエネルギーが蓄積されつつある。コミュニケーションを十分に図れば、行動へのアイデアを見つけ、磨き、実行に移して、よりよい暮らしとよりよい国を生み出せるだろう。
(つづく)
John Gerzema(ジョン・ガーズマ)
消費者行動が経済成長、イノベーション、企業戦略に与える影響を分析する社会理論家。グローバル企業のコンサルタントとして、消費者の価値観やニーズの変化を膨大なデータ分析によって追跡調査している。前著『スペンド・シフト』は、ビジネス雑誌、ファストカンパニーの「ベストビジネス書2010」に選出され、北米で出版されたビジネス書を対象としたAxiomビジネスブックアワードで2012年の金賞を受賞。
コロンビア大学、MITスローンスクールなどで講師を務め、TEDでのスピーチは25万人に視聴されている。BAVコンサルティングのエグゼクティブ・チェアマン、世界50カ国、5万ブランドを対象とした世界最大の消費者調査、BrandAssetValuator(BAV)の責任者を務める。
Michael D'Antonio(マイケル・ダントニオ)
ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト。ビジネス、サイエンス、スポーツと多岐にわたるジャンルで15冊を超える本を執筆。チョコレート王を描いたHershey(未訳)はビジネスウィークの年間ベスト書の1冊に選ばれた。ノンフィクション映画、Crown Hightsの脚本で、人間の尊厳や自由を訴える優れた作品に贈られるヒューマニタス賞を受賞。
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