サラリーマンの節税で見逃せないのが医療費控除だ。生計を一にする親族のために支払った医療費の年間の合計額が10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)を超えると、超えた分が控除の対象となる。また、夫婦共働きで別々の健康保険に入っていても旦那さんが奥さんの医療費を払ったとすれば合算することができる。
医療費の対象には保険適用外の診療も含まれる。眼科のレーシック手術や歯科のインプラントなどの高額な医療費も治療に該当すれば対象となる。入院などで医療費が増えた場合も対象となるのだが、生命保険(入院給付金)、高額療養費などで補てんされた金額は差し引かれるので、入院の場合は思ったほど医療費が増えないことが多い。
誠 Biz.ID編集部からインプラント治療をした際の領収書の画像を記事用に提供してもらった。この領収書以外に医療費が掛からなかったとしても42万4200円から10万円を引いた32万4200円が医療費控除の対象となる。医療費控除は年末調整では控除できないので、自分自身で確定申告を行う必要がある。
普段、医療費が10万円を超えることがない人も、年の後半で突発的な入院などがあるとその年の医療費がかさむ可能性はある。家族全員の領収書は必ず保存しておこう。
医療費控除で見落としがちなのが通院費。レシートから通院回数は分かるので、バスや電車で通っている場合は往復交通費×通院回数分も医療費に入れるのことを忘れずに。
交通費の領収証は不要です。医療費控除の用紙に「○○医院 往復交通費320円×10回=3200円」などと記したり、表計算ソフトなどで集計したものを用いたりしても結構です。
あと、タクシー代などは通常は認められませんが、緊急を要する通院や、足を骨折するなどして歩行が困難である場合の通院、臨月の妊婦の通院などは認められます。
寡婦控除は夫と離婚や死別した女性が受けられる控除だ。2008年から始まった筆者の税金に関する記事も、数えてみると今回で40回目となるが寡婦控除は今までほとんど触れたことがなかった。初めて取り上げた理由は昨今シングルマザーの存在も珍しくないことと、昨年放送されたドラマ「Woman」だ。
満島ひかりが演じるシングルマザーの苦労は相当なもので、初回から数話はかなり重苦しい展開だった(後半はゆるくなったが)。ドラマと同様に苦労する見知らぬシングルマザーが実在していると思うと、その人のために自分の税金を使ってほしいと感じたほどだった。
寡婦控除は所得税で27万円、住民税で26万円の控除が受けられる。その条件は以下の2つのどちらかを満たしていればいい。
死別の場合は再婚しなければ扶養する親族がいなくても控除の対象となる。所得の制限も500万円(給与所得のみなら年収約688万円以下)と高めの設定となっている。扶養する親族がいれば離婚でも死別でも控除の対象となり、自分自身の所得の制限も扶養親族がいればなくなる。離婚して小さな子を育てていれば(=シングルマザー)控除が受けられるということだ。
さらに以下の3つの条件を満たしていれば「特別の寡婦」となり所得税で35万円、住民税で30万円の控除を受けられる。
ドラマ「Woman」で満島ひかりが演じる青柳小春は、夫(小栗旬)と死別、小さな子が2人、所得500万円以下の条件を満たすので「特別の寡婦」の控除が受けられることになる。しかしこれでは足りないというのが正直な印象。少子化は日本の最大の課題と思うので、税金とは別の支援がシングルマザーに必要だと感じている。
2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。
事務所名:木村税務会計事務所
住所:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-11-10 ケヤキアパートメント201
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