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» 2014年02月10日 08時00分 公開

個人事業主ができる消費税の節税について学ぼう消費税8%時代の確定申告(3/3 ページ)

[奥川浩彦, 監修:木村税務会計事務所 税理士 木村聡子,Business Media 誠]
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簡易課税制度

 免税点制度に加え、簡易課税制度という小規模事業者の事務負担の軽減のための制度もある。領収書の例のように1つ1つの経費から消費税分を計算するのは膨大な作業となる。それを簡易な方法で消費税額を算出するのが簡易課税制度だ。ちなみに、1つ1つの経費から消費税額をキッチリ算出し厳密に集計する方法を本則課税、集計した売り上げからどんぶり勘定で消費税額を割り出す方法を簡易課税という。

 簡易課税の場合、経費を無視して、売り上げから業種ごとに推定の消費税額を割り出せる。例えば、4000万円の売り上げがあった場合、卸売業なら経費を90%の3600万円、小売業なら80%の3200万円、製造業なら70%の2800万円といった具合に推計し、ザックリ消費税額を算出する。

業種区分 みなし仕入率
第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業) 70%
第四種事業(その他飲食店・金融・保険業等) 60%
第五種事業(不動産・運輸通信・サービス業) 50%
簡易課税制度のみなし仕入率

 計算式は以下のとおりだ。

  • 課税売上高×5%−(課税売上高×5%×みなし仕入率)=納付消費税額

小売業で税抜売り上げが4000万円の場合は、

  • 4000万円×5%−(4000万円×5%×80%)=40万円

飲食店で税抜売り上げが4000万円の場合は、

  • 4000万円×5%−(4000万円×5%×60%)=80万円

となる。

 みなし仕入率は、業種ごとの平均的な原価率、経費率から算出されている。実際には事業者ごとに差があるので、みなし仕入率に対し原価率、経費率が高い場合は本則課税、低い場合は簡易課税を選択したほうが納税額は少なくなる。課税業者となり本則課税、簡易課税を選択するときは前年までの実績から納税額を推計し、節税になるほうを選択したい。どちらを選択しても大差がないのであれば、簡易課税を選択すると事務負担は軽減できる。

 なお、簡易課税制度が選択できるのは、前々年の課税売上高が5000万円以下の事業者だ。簡易課税制度を選択する場合は、消費税簡易課税制度選択届出書を課税期間の開始日の前日までに提出する必要がある。

 このように課税売上高が1000万円以下なら免税点制度、5000万円以下であれば簡易課税制度を利用して節税できる可能性がある。販売系の事業で起業する場合は売り上げが高めとなるのですぐに超えてしまいそうだが、仕入れの発生しない事業で起業する場合は消費税でも節税できる可能性は高い。

 ここまでの例は、現在の税率5%で計算している。消費税の税率はまもなく8%、そのすぐ先に10%となる可能性が高い。免税点の1000万円をチョット超えて、2年後に簡易課税の第五種事業で25万円の消費税を納める人は、税率が10%になれば倍の50万円を納税することになる。税率が高くなることで今まで以上に注意が必要な人はしっかり帳簿を付け節税したい。

コラム:税理士に依頼する

 知り合いの著名ライターさんが、昨年初めて決算を税理士に依頼したというので話を聞いてきた。これまでは自分で青色申告ソフトを利用して記帳、決算、申告をしてきたが、自分で記帳、決算をすることに対する不安もあり1度税理士に見てもらうことにしたらしい。

 税理士に依頼する人は、毎月領収書を送りつけて記帳から決算までのすべてを税理士に任せる、いわゆる「丸投げ」をすることが多い。だが、彼は普段から緻密な記事を書くライターさんなので、すべて青色申告ソフトに入力しデータを送付、決算のチェックだけを依頼したとのこと。

 税理士に依頼する費用は事業規模、個人か法人化など内容により差があるが、丸投げの場合は毎月数万円、決算で15〜30万円くらいが相場らしく、年間にすると数十万円となる。聞くとライターさんが税理士に払った報酬は10万円台と格安。おそらく完璧なデータを用意した上での依頼だったと想像される。

 結果、税理士さんの指摘で過去にさかのぼって修正する事案があり、10万円ほど還付されたので「税理士に依頼して正解だった」とのこと。

 筆者自身、独立して過去7年、自力で確定申告をしているが、その内容が正しいのか一抹の不安がある。最初から丸投げすることはお勧めしないが、ある程度税金のことを理解した上で税理士に依頼するのも節税の1つの方法だろう。


監修:税理士 木村聡子(きむら・あきらこ)

木村聡子

 2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。

事務所名:木村税務会計事務所

住所:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-11-10 ケヤキアパートメント201

公式サイト:KIMUTAX.com


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