こうした図式を頭に入れれば、熊崎コミッショナーがまるで勇み足を思わせるかのように、未決定の日米野球開催についてわざわざ日本記者クラブで公言したナゾも少しは解けて来るのではないだろうか。日本人メジャーリーガーを含めたMLB選抜チームとの対決をいち早く世間にアピールすることで、いまひとつ人気のパッとしない小久保監督率いる侍ジャパンをPRしようとした、という見方もできるからだ。
実際のところ、現在の侍ジャパンに対する人々の興味は低調モード。小久保監督の初陣となった2013年秋の強化試合・台湾戦は確かにテレビ局の放映権料などでそれなりの収益を上げたが、これは明らかに同年春のWBCフィーバーの余勢によるものだ。小久保監督がいくら「台湾戦は若手主体で戦ったが、次の試合からは本番に近いメンバーになる」とあおっても、注目度はサッパリなのである。
「小久保監督本人がヤル気満々でも、周囲の協力体制が磐石ではないのが大きなネックとなっている。なにしろ次の第4回WBCは3年後の2017年。各球団も選手も、まだ現実として意識付けられない。若手主体で臨まなければならなかった台湾戦がまさにそうで、各球団から出場可能選手のリストが提出されたが、その中には一軍経験者を1人も推薦しなかったセ・リーグの球団もあったほど。
2014年1月22日に行われたスタッフ会議も出席したのは小久保監督と侍ジャパンの事務関係者だけというお粗末ぶりだった。コーチ陣を含むスタッフは秋の台湾戦のみで解散しており、2014年11月に企画されている日米野球もしくは他のチームとの強化試合を前にあらためて人選することになっている。
そのコーチ陣も強化試合のギャラは日給制で、金額は1日3万円から5万円と言われているから、自分から喜んでやる人は多くないだろう。本来ならば陣頭指揮を執らなければならないはずのNPBがバックアップ体制を整えていないから、侍ジャパンは名前ばかりが先行してしまっている」(球界関係者)
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