ブラック企業よりも怖い――「新・ブラック社員」によろしく?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/4 ページ)

» 2014年03月24日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

仕事をさせてもらえない辛さが、なぜ隠蔽されたか

 退職した後輩社員は「辛いのは、仕事をしてはいけないといわれたことです。なにもできない。何をしに会社へ来ているのかだんだん分からなくなってくる」と、涙ながらに告白するのです。驚いた総務担当者は、それを上司に言ったのかと聞くと、何度も訴えたけど、なにも改善されなかったと。それで辛くなって、精神的にも参ってしまい、体調を崩して、辞める決断をしたと打ち明けました。

 驚いた総務担当者は、翌日上司に相談をし、事実関係の調査に入りました。しかし、問題の部署の上長は、その組織の直接の管理職からはそういう報告は受けていないし、逆に辞めた人間に問題があった、組織の和を乱す行為があったらしいと聞いているというのです。

 ここから先、ある隠密裏の調査をして、結果的に不正がすべて暴かれることになりました。さながらスパイ小説のような顛末に、私は驚いてしまったのですが、生々しすぎる話なので詳細は割愛します。

 かいつまんで書くと、組織を腐らせていた先輩たちは、自分たちの保身のために上司を取り込み(=こう書いてしまうと、それぞれの性別が分かってしまいますね。読者の皆さんがお察しの通りです)、不正な報告書を作らせ、自分たちの勤務態度を完璧に隠蔽(いんぺい)していたのです。総務担当者たちが、籠絡されていた上司を問いつめるために、証拠をキチンと積み上げ、完璧な用意をした上で、本人に自白させることは並大抵ではなかったようです。

 最終的に、別の上司を用意し、その人は他の部署に移動させることで、仕事をしたくない、本人たちにとっては楽園、周囲の人たちにしてみれば、仕事と人材の墓場なような場所は、あえなく終焉を迎えることになりました。先輩社員たちも数々の事実を突きつけられ、居場所を失って、退職することにりました。先輩3人が一気にいなくなって業務が回るのかと周囲は心配したのですが、残りの4人で十分に仕事が片付き、業務に比例した部署の適正人数はそのくらいだった、ということが分かったというオチまでつく始末。

(写真はイメージです)

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