「人の視線+α」で○○が分かる――近未来はとにかくスゴくなりそうだ仕事をしたら“視線”を追いかけた(4/6 ページ)

» 2014年04月02日 08時12分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

多様性が失われると、つまらない

スマートフォンのユーザーがどこを見ているのかを分析

蜂巣: 家電メーカーも同じ。例えば、洗濯機の試作品ができたときに、ユーザーを呼んで、アイトラッキングで分析しました。「ではこの洗濯機を使って、洗濯してください」とお願いしたところ、ユーザーはいろんなところを見ていたので、担当者は驚いていました。「このボタン、誰も見てないよ」「えっ、こんなところを見ているの?」といった感じで。この結果を受け、家電メーカーは機能を見直したりしているんですよ。

 あと、詳しいことは言えないのですが、とあるメディアは「自社メディアはこのままでいいのか?」と悩んでいて、アイトラッキングで分析されていました。

土肥: ん? どういうことでしょうか? もう少し教えていただけませんか?

蜂巣: うーん、そうですね(しばし沈黙)。東京に本社があって、地方に支局があって……つまり、同じ会社ですが、それぞれ独自色を出そうとしますよね。その地方メディアもこれまで独自色を出そうと努力されてきたのですが、ユーザビリティというのは突き詰めていくと、だんだん似てくるんですよね。その形……要するに東京と同じようにすると、視聴者または読者は増える可能性は高い。しかしそれをやると、地方色が失われるので、どうしたらいいのか……。そんな葛藤があるようですね。

土肥: Webの世界は分かりやすいですよね。例えば、ポータルサイトの多くは「Yahoo!」のようなデザインになってしまった。

蜂巣: この問題は難しいですよね。Webのデザインはセオリーがあるので、「じゃ、ウチもYahoo! のように……」となると、みんな同じようになる。そうなると、ユーザーは「じゃ、Yahoo! でいい」となる。

土肥: です、です。Webの世界で起きていることを“反面教師”として、先ほどの地方メディアには独自色を残しながら、新しい価値を提供してほしいですね。でないと、みんな東京のような形の情報発信になってしまったら、多様性が失われてつまんないですよ。

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