出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
世界のニュースを扱う仕事をしている身として、海外のニュースサイトで「最も読まれた記事」をチェックするのは日課にしている。世界に暮らす現代人の関心事を把握するためだ。
最近では、例えば英BBCニュースのサイト(参考リンク)を見ると、アクセスの1位は「9カ月の赤ん坊が『殺人を計画』」、2位は「食品廃棄物を減らすために『1つ買えばもう1つ無料、というサービスを終了せよ』」、3位は「まだ食べられる賞味期限切れ食品5つ」となっている。
1位はパキスタンで赤ん坊が殺人未遂に問われているというトンデモニュースで、2位は欧州で1つ買えばもう1つ無料というスーパーのサービスに批判が高まっているニュース、3位は米国で賞味期限切れの食品を売るスーパーマーケットが登場したが、賞味期限切れでも食べられる食品は何か、というニュースだ。興味深いタイトルが並んでいる。
ただ実際のところ、数多くのユーザーが関心を持つニュースが必ずしも1位にランクインするとは限らない。速報のニュースを除けば、タイトルの巧みさなど、編集者の努力による場合もあれば、ただ単に1位になのでクリックすることだって多いはずだ。参考にはなるものの、日々変わっていくランキングを観察していれば人々の関心事が掴める、とは言いにくい。
それでは、現代に生きる私たちは本当のところ、一体どんなニュースに関心を持っているのだろうか。世界にはそれこそ数えきれないほどの問題や課題が存在するが、私たちは何を懸念し、何に恐れているのか。
もちろん、人々の関心事は性別や年齢、暮らす国によって異なるし、文化的背景や社会的地位などによっても変わるだろう。だが、大きなヒントになるような調査が行われている。米国の大手調査会社ピュー・リサーチ・センターが、世界の国々を対象にした調査「世界で脅威に感じること」(参考リンク)だ。
これは現代の地球に暮らす人々が、何を心配しながら生きているのかを探る試みだ。この結果には意外な発見もあるし、我ら日本人が世界とは違った問題に懸念を抱いていることも分かる。
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