クリエイティブディレクター。就活や転職関連のサービスをプロデュースしたり、このような連載をしていたりする関係で、そちら方面のプロフェッショナルと思われがちだが、実は事業そのものやサービス、マーケティング、コミュニケーションの仕組みなどを開発するのが本来の仕事。
直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」や「MakersHub」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』。この連載についても、個人的に書いているブログでサブノート的なエントリーを書く予定。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
「問題は30歳代後半からのゾーンなのです。このあたりの人たちの教育にコストをかけるのか、それともあきらめてしまうのか……思案のしどころです」
ある企業の人事担当者と話をしているときに、彼がふと漏らした台詞です。一定規模の企業はいま、密かにこの問題について悩んでいます。
企業が従業員を教育するといえば、まず頭に浮かぶのは一括採用した人たちの新人研修かもしれません。企業もそこに一番力を注いでいると思いがちですが、予算的にはそれと同じくらい、いや、企業によってはそれよりも多額の費用をかけていたのが、中間管理職、またはその予備軍の育成でした。
「でした」と過去形で書いたのには理由があります。それがコラム冒頭の人事担当者の台詞につながってくるのです。
最近勢いのあるネット系のサービスや、新規事業を立ち上げたというベンチャーの記者発表を見ていて気がつくことのひとつに、登壇している事業責任者の年齢が若い、ということがあります。多くの人が30歳代中盤から後半、もっと若い場合は20歳代後半というケースもザラ。
創業社長が学生ベンチャーからスタートしたような企業だと、従業員の平均年齢も若く、必然的に事業責任者の年齢も若いというケースがほとんどですが、最近では歴史も伝統もある、いわゆる古いタイプの企業ですら、そのポジションにつく年齢が下がってきている印象を受けます。
一定規模の予算を与えられ、責任とともに社会的地位も付随してくる経験を積むことによって、そういう人たちは大きく飛躍していきます。それこそ、企業が提供する育成プログラムなどとは比較にならないような成長をするのです。しかし残念なことに、すべての人に同様の経験をさせるわけにはいきません。
「若くして優秀であるかどうかは当然関係しますが、それ以上に、どこに身を置いているかによって成長の度合いは変わってきます。いまの30歳代は、かつての同じ年齢の人たちとは比較にならないほど、差がついています」
冒頭の人事担当者の台詞の続きです。いま、成長していない人たちに対して今後、教育投資をしたり、一定の経験を積ませたりすることが、果たして組織としてプラスになるのか、そうではないのか。当事者=30歳代のビジネスパーソンにとっては、不安になってしまうような選択肢を、人事担当者の中には考え始めている人もいるのです。
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