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» 2014年05月23日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:「お召し列車」の運行告知は、日本の平和を知らせている (2/4)

[杉山淳一,Business Media 誠]

行幸啓の日程は政府が公表している

 天皇陛下の行幸啓の日程は極秘扱いではない。政府が官報に掲載している。

 かつて官報は政府刊行物販売所という限られた場所で頒布されていた。「公表」と言っても多くの人には情報が行き渡らず、秘密めいた存在だった。現在はどうか。官報は直近30日ぶんインターネットで公開されるようになった。キーワード検索も可能だ。今回の行幸啓については、平成26年5月19日付の官報(本紙第6291号)に掲載されていた。

天皇皇后両陛下の栃木県及び群馬県へ行幸啓の御日程は、次のとおりである。


第一日 五月二十一日

皇居(坂下門)御出門

東京駅御発

小山駅御着

栃木市藤岡遊水池会館

渡良瀬遊水地ヨシ原浄化施設

栃木市藤岡遊水池会館

佐野市郷土博物館

栃木駅御発

東武日光駅御着

お泊り所 日光金谷ホテル


第二日 五月二十二日

足尾環境学習センター

日光市役所足尾総合支所

通洞駅御発

水沼駅御着

桐生市役所黒保根支所

桐生駅御発

小山駅御発

東京駅御着

還幸啓



 お召し列車運行のニュース映像を見ると、鉄道ファンが沿線から撮影している。Webサイトで成果を発表する人もいる。地元の鉄道ファンだけではなく、全国各地から「お召し列車ファン」が訪れる。なぜ彼らがお召し列車の運行を知り得たか。それは官報のおかげである。

 インターネットが普及する以前から、お召し列車ファンは官報を取り寄せ、行幸啓の日程を察知していた。官報の内容は簡素で、お召し列車運行時刻の詳細は分からない。そこで「地元の駅でダイヤ変更を知らせるポスターがあった」とか、「○日前に試運転らしき列車が走った」などの情報を交換するわけだ。

 インターネットの普及により、情報交換の速度は上がり、内容はより詳しくなった。そんなお召し列車ファンの情報量に比べれば、わたらせ渓谷鐵道の告知は詳細とは言えない。普段わたらせ渓谷鐵道を利用している人や、沿線に出かけようとする観光客に、施設の利用制限などを事前に知らせる親切心に満ちた内容である。ほどよい加減で告知していると言えそうだ。

 そんなわたらせ渓谷鐵道のお召し列車運行の発表を心配する声もある。Facebookにも「公表してよいことか」という趣旨のコメントが寄せられていた。私も情報量の多さに驚き、ちょっと心配した。

 ちなみに、今回の行幸啓は東武鉄道やJR東日本も利用する。しかし両社からの公式発表はない。JR東日本では、ダイヤを調整した結果の変更点について、駅にポスターの掲示などを実施しているようだ。ただしその理由は明かされていない。

photo 官報に掲載された行幸啓日程

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