訪日外国人が1000万人を突破!――外国人の受け入れを考える世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる(1/2 ページ)

» 2014年06月23日 07時00分 公開
[川瀬太志,Business Media 誠]
誠ブログ

 最近、外国人旅行者が増えているようで、街中でも外国の人たちを見かけることが多くなりました。新幹線も飛行機もホテルも、よく混んでいる印象です。

 私はよく出張しますが、東京都内のホテルなどは明らかに予約しにくくなっていますし、宿泊価格も若干上がってきています。これは景気が回復して人の移動が増えただけではなくて、外国人旅行者も増えているからだったんです。

「訪日外国人、初の1000万人突破」
日本を訪れた外国人客数が20日、初めて年間1000万人の大台を突破した。訪日客の増加は宿泊や買い物などを通じて国内消費を活性化し、投資や雇用創出につながる。景気の押し上げ役として存在感を増している。
(2013年12月21日付 日本経済新聞)

 2013年度に初めて、来日する外国人が1000万人を突破しました。2012年度に比べ、約20%の増加です。10年間で約2倍になった計算です。

 日本政府観光局(JNTO)の報告によると、内訳は韓国が24%でトップ。次いで台湾(22%)、中国(13%)、米国(8%)と続きます。

 2014年の4月には「旅行収支」(訪日外国人が日本で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた収支)が44年ぶりに黒字に転じました。これは44年前の大阪万博以来のことだそうです。

 この勢いは2014年になっても止まらず、旅行代理店のJTBは今年度の訪日外国人は前年比14%増の1180万人になると予測しています。

訪日外国人の増加は経済のけん引役

 ホテルも新幹線も、やはり過去最高に稼働しているようです。

都内ホテル稼働率、バブル期超えの84.8%(13年度) 訪日外国人が押し上げ
(2014年1月25日付 日本経済新聞)

新幹線客数、最高更新へ JR3社の今年度、観光・訪日客増える
(2014年6月11日付 日本経済新聞)


 3年前の東日本大震災の後、日本中から外国人観光客が消えました。

 震災のあった翌月の2011年4月、東京都内のホテル稼働率は過去最低の49.8%でした。訪日外国人は35万2800人と前年同月比50%減にもなり、観光産業は大打撃を受けました。それが3年で過去最高になるほど、多くの外国の人たちに日本に来てもらえるようになりました。

 要因としては、2012年の年末から急速に円安が進んだことや、多くの格安航空会社(LCC)が日本への就航を拡大したこと、また中国や東南アジア諸国向けのビザの発給条件を緩和したことなどが功を奏したようです。昨年夏からビザが免除されたタイとマレーシアからは、13年度の旅行客がそれぞれ前年対比で74%増と36%増になりました。円安という追い風環境の下、政府と民間のこれまでの努力が実を結んだ成果と言えます。

 新聞によると、1000万人の訪日外国人の日本への経済波及効果は、実質国内総生産(GDP)を4兆3000億円増やし、15万6000人の雇用を増やすそうです。訪日客11人で日本人1人分の年間消費額(123万円)に相当するお金を使うという試算もあります。観光産業は経済成長をけん引する存在として、重要な役割を担っているのです。

 政府はさらに、「東京オリンピックのある2020年までに、年間訪日外国人の2000万人の達成を目指す」としています。そのために、ビザ免除国をインドネシアやフィリピン、ベトナムなどのアジア諸国へも拡大していくことや、短期滞在期間を現在の90日から最長1年程度に延ばすことも検討しているようです。

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