ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日仕事をしたら“軽油”ができそう(前編)(5/6 ページ)

» 2014年07月09日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

ミドリムシは“社長になれる”

ミドリムシを原料にしている「DeuSEL(デューゼル)」。シャトルバスの燃料として使われている

土肥: いすゞ自動車と共同で開発される燃料は、従来のモノとはかなり違うそうですね。

鈴木: シャトルバスに使っている燃料は、市販されている軽油に似ていますが、違うモノなんですよ。でも、これから研究を始めるモノは、軽油と全く同じなので、技術的なハードルがかなり高くなりますね。

 これまで、ミドリムシの油を100%使って、クルマを動かした人はいません。ただ、仮説はありますので、その検証を始めなければいけません。

土肥: その仮説というのは、“教科書”に掲載されているのですか?

鈴木: ミドリムシの油がどんなモノなのかは分かっています。ただ、それを「加工した」という報告例はないので、“教科書”を参考にしたらすぐにできる……といった話ではありません。トライ&エラーを重ねながらの研究になりますね。

土肥: 市販されている軽油と同じモノを作る、ということですが、もう少し詳しく教えてください。

鈴木: 分子構造が同じ、ということですね。

土肥: 分子構造を同じにするためには、どのような研究をされるのでしょうか? 例えば、試験管の中にミドリムシを入れて、その中に何やら違うモノを入れて、ガーッとかき混ぜるといった感じ?

鈴木: ミドリムシの油を使って、このような工程を踏めば、同じ分子構造の燃料ができる、ということは分かっているんですよ。「軽油=社長」だとすると、“社長になれる”ことは間違いない。ただ、どうすれば“社長になれる”かが分かっていません。部長→常務→専務→社長といった流れなのか、部長→副社長→社長といった流れかもしれません。このルートをこれから探っていく、といった感じですね。

 社長になるルートはいろいろあるのですが、その中で最も効率的なものを見つけなければいけません。でなければ、実用化できないんですよね。

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