号泣県議・野々村さんは、兵庫県議会に比べたらよっぽど政治家らしい窪田順生の時事日想(3/4 ページ)

» 2014年07月15日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

「ズブズブのなれ合い」に注目

 実は国会議員の「議員報酬」(歳費)は戦後まもなく施行された国会法第35条によって定められているのだが、そこにはこんな文言がある。

 「議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける」

 最高の給料額というのはいわずもがな「高級官僚」の給料だ。これを踏まえると、この国で政・官・マスコミの三者が手をたずさえて、「ベア」に励んできた関係がくっきりと浮かび上がる。

 国会議員の給料が上がっていくということは、それよりもやや少ない高給官僚の給料も上がる。両者の給料が上がれば、「監視役」の新聞記者も高給取りにならざるを得ない。しかし、この高給システムにはひとつ欠陥がある。国会議員は選挙に落ちれば「ただの人」になってしまうのだ。

 そこで、落選を防ぎ、「国会議員」という高給取りを“家業”として維持するため、選挙をサポートする地元部隊が必要となる。「地方議員」だ。彼らは地元の有権者をとりまとめて、国政に押し上げる。その代わり、国会議員の後押しで、年収2000万、費用弁償などのさまざまな「特権」も与えるようになったというわけだ。

 そんなズブズブの関係を象徴するのが、「政務活動費」だ。これはもともと「政務調査費」だったのだが、使い勝手が悪いから、なんでも使えるようにしろ、地方議員からの要望に応えて自民党が中心となって、議員立法で通したのである。

 こういう地方議員のしょうもない実態というのは、これまであまり公にならなかった。マスコミも国会議員のスキャンダルは喜んで扱うが、「小物」である地方議員の場合、どんなにメチャクチャやっても「まあ、そういうおかしな議員もいますよね」とスルーしていたからだ。それが最近、ひょんなことで地方議会に注目が集まっている。

 もうお分かりだろう、「号泣県議」こと野々村さん(11日付で辞職)だ。

不自然な政務活動費支出問題で、野々村氏は11日付で辞職した

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