体長0.05ミリの生物は次に何を動かす? ミドリムシが創る「未来」仕事をしたら“軽油”ができそう(後編)(5/5 ページ)

» 2014年07月16日 06時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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ユーグレナの研究者あるある

土肥: ユーグレナの研究者あるあるってありますか?

鈴木: 出張や旅行に行ったら、必ず現地の水をくんで持って帰りますね。例えば、池の水とか。なぜ持って帰るかというと、新種のミドリムシがいるかもしれないから。旅行から帰って家に着くと、荷物を整理する人が多いと思うのですが、ユーグレナの研究者はまず持ち帰った水を調べるんですよね。

 何度も水を持ち帰っていると、“目利き”ができるようになってきました。水の淀み具合や温度などで、「ここの水にはたくさんのミドリムシがいるだろうなあ」といった感じで、だいたい当てることができますね。

土肥: どんな条件の水にミドリムシが多いのですか?

鈴木: 炭酸がわき出ているところは、新種がいるのではないかと期待しますね。水温が高いところとか塩の濃度が変わるところとか(海水と川の水が混ざるところ)。あと、現地の水を見て、ここにはこのタイプのミドリムシがいるのでは? と予測できるようになりました。実際に持って帰って調べると、「やっぱりね」と思うことが多いですね。

土肥: 他人に自慢できるミドリムシを見つけたことってありますか?

鈴木: それについては、いずれ学会で発表する予定なので、いまは秘密。これまでたくさんのミドリムシをすくってきたので、「バリエーションが増えている」というコメントでご勘弁ください。

 あと、研究者あるあるですが、疲れてときにミドリムシを見ちゃうんですよ。

土肥: 鈴木さんの仕事って、ミドリムシを見ることですよね。疲れたときって、仕事に関係することから離れたくなるのでは?

鈴木: ミドリムシの“すじりもじり運動”はかわいいので、いやされるんですよ。仕事が煮詰まってきたなあ、と感じたときには、ミドリムシを見る。顕微鏡でミドリムシの動きをみると、「やっぱり、こうした動きだよな」と感じることで、原点に立ち返れるのかもしれません。うまく言えませんが、頭の中が整理されて、スッキリするんですよね。

土肥: なるほど。ミドリムシをたくさん増やすことで、世の中がどのように変わっていくのか。楽しみにしています。本日はありがとうございました。

ミドリムシは「すじりもじり運動」をしながら移動する

(終わり)

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