「初心者歓迎!」――。コンビニの店頭でアルバイトの募集広告を見たことがある人も多いはず。コンビニで働く予定のない人にとっては、特に気にならない文言だと思うが、この5文字にコンビニ側の仕掛けがあるのだ。
コンビニで初めて働く人は驚かれるかもしれないが、多くの作業にマニュアルがある。マニュアルには「行動」について細かく書かれていて、最近では“マニュアル接客”などと揶揄(やゆ)されており、あまりいい意味として受け止められていない。しかし、このマニュアルが整備されたことによって、初心者でもある程度のレベルに達するスピードがものすごく早くなったのだ。
「それがどうしたの? とてもいいことじゃないか」と思われるかもしれない。確かに、お店側にとってのメリットは大きい。専門知識が必要な職業に比べると、初心者を受け入れやすいし、そのことで人件費を安く押さえることができる。そして、最大のメリットは、アルバイトが“無垢(むく)”な状態になれるということだ。
「無垢な状態? どういうこと?」と思われるかもしれない。コンビニの仕事は大変だが、無垢なアルバイトには「こんなもんだから……」と思い込ませることができるのだ。初心者は仕事ができない。当たり前だ。しかし、そんな彼らも、少しずつ仕事を覚えていくと達成感のようなものが生まれてくる。
例えば、雑誌をきちんと並べることができることによって「この仕事を覚えることができた」「次の仕事も覚えたい」という気持ち(モチベーション)がわいてくる。いや、そのように思わせるのが、オーナーの力量だと思っている。言葉は悪いが、この作業は“洗脳”に近い。
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