らくらくシリーズの強みは、ターゲットが明確な商材であることと、その層へすでに受け入れられる土壌ができていること。そして、新モデルは新シニア層の心理にある「年寄り扱いはするな」(でも、目や耳などの老化は自覚している)への対応として、デザインを洗練させ、シニア向けっぽさを極力排除。専用SNS機能を“家族のきずなを深めるため”とするのも、それを与える立場にある利用者の子ども層へ訴求するのに効果がある。
一部に「らくらくシリーズ=年寄り向け」と認知してしまっており、それだけで避けがちな新シニア層もいる。「確かにそういうお客様もいらっしゃいます。ただ、今回のらくらくスマートフォン3は、そんな方にも満足いただけるであろう上質なデザインを見ていただくと、その印象は変わると思います。自信があるデザインです」(富士通の説明員)
ところで、読者の多くは、らくらくシリーズが想定する層の「子ども世代」と思われる。何らかの機会に、スマートフォン/携帯電話を親に贈ることを計画したこともあるかもしれない。この際、契約と月額費の支払い方法をどうするかが意外と高い壁になる。すべて月額費も含めて買い与えられればよいが、月額費の負担や名義や支払い方法の変更などの課題が残る。そうといって、適当にキャリアショップなどで買ってねなどとお金を渡して委ねるのも少し違う。
また月額費面も、らくらくスマートフォン2登場時に用意した比較的安い定額データ通信オプション(月2839円定額)のXiらくらくパケ・ホーダイは、今回のらくらくスマートフォン3に適用できない(Xiらくらくパケ・ホーダイは2014年8月31日で新規受付を終える)。基本は「カケホーダイ&パケあえる」プランとシェアパックを組み合わせることを想定している。
なお「らくらくシリーズをはじめ、やはりキャリア向けビジネスも大切」(富士通執行役員モバイルフォン事業本部の高田克美事業本部長)と述べ、らくらくシリーズを富士通の商品として、キャリア以外の販路で展開する可能性はいまのところ低そうだが、贈りものとする手段も改めてどうか。
こちらはらくらくシリーズの新モデルが出るたびに何か手段はないか、「プリペイドや引き替え券」のようなシステムがあればよいのになどと思っていたが、昨今は「格安SIM」の手段も一般的になってきたのが追い風だ。イオンやビックカメラ、ビッグローブなどが提供する(8月1日にはAmazonの日本法人も参入し、製品を発売する予定)、端末と通信費込みで月2980円前後とする格安SIM+スマホ端末のセット製品を例に、売り切り型の「格安らくらくスマホ3」のような製品もあれば、どうだろう。
連携機能やサービス、分け合える料金プランなどNTTドコモ契約のよさも多いが、“贈る”を考える子ども世代としては、このような選択肢もほしい。何らかの形で実現できることを期待したい。
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