なぜ日本人選手がニラまれるのか――スポーツ界に広がる人種差別問題臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2014年09月04日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

プロスポーツ界において、人種差別問題は根が深い

 プロスポーツ界における人種差別問題は我々が考えている以上に根が深い。Jリーグで今年起こった2つの事件はいずれも外国人選手がターゲットにされたが、海の向こう側では逆に日本人選手が被害者となることが多々ある。

 直近で思い起こされるのは野球の米メジャーリーグで発生した一件。2013年5月12日のカンザスシティー・ロイヤルズ戦でニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹投手が審判から侮辱とも取れる言葉を浴びせられた。

 8回に投じた際どいコースを「ボール」と判定され、不満そうな表情を見せたのが事の発端。降板を命じられてベンチに下がる際、ディアズ球審とにらみ合いながら口論になった。黒田の証言によれば、球審が「(判定ミスは)あの1球だけだろ」と捨てゼリフを口にして誤審をほのめかしたという。普段は冷静沈着な黒田が「その1球のために調整したり、データを取ったりといろんなことをしている。軽く言われるのはちょっとね」と熱くなったのだから、よほど腹に据えかねたのであろう。

 メジャーリーグでは監督、選手が審判に暴言を吐くのは珍しいことではないが、その逆もある。審判が監督や選手に汚い言葉を浴びせるのだ。特に日本人選手はメジャーの審判の標的とされ、黒田のように侮辱された選手は少なくない。

 ある日本人右腕は移籍1年目にこんな苦い経験をした。試合中にストライクゾーンがコロコロ変わる審判が球審を務めた際、明らかなストライクをボールと判定され、マウンド上で不満そうな表情を浮かべた。球審にはこのルーキー右腕の態度がよほど気に入らなかったのだろう。その右腕はベンチに引き上げる際に球審から「日本とはストライクゾーンが違うんだ。メジャーのゾーンを覚えろ」とすさまじい形相で罵倒されたそうだ。

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