日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
“久しぶり”に選手たちの熱いプレーがクローズアップされた球宴だったのではないか――。
プロ野球の「マツダオールスターゲーム2014」が7月18日に西武ドーム、19日に甲子園球場で2日間に渡って行われた。第1戦では試合前のホームラン競争を制した広島のブラッド・エルドレッド内野手が特大アーチを含む3安打4打点でMVPに輝き、助っ人パワーを満天下に誇示。第2戦も先発マウンドに立った日本ハム・大谷翔平投手が日本最速タイ&球宴最速となる球速162キロを計測し、世間を大きく沸かせた。
とはいえ、今の球宴にプレミア感があるかと問われれば、やっぱり「?」。セントラル・パシフィック両リーグの人気選手が集まって対戦する貴重な試合のはずなのに近年はその存在価値が低下しているのは、どうしても否めない。
その大きな要因は、今年もそうであったようにNPB(日本野球機構)が球宴を毎年2試合以上も組んでいることにある。毎年1試合に限定すれば、さらに希少価値が高まって盛り上がるはずだ。
「球宴を毎年1試合にして価値を高めるべき」との指摘は球界の有識者からも多数出ている。しかしNPB側はなかなか首を縦に振ろうとはしない。なぜならば球宴は主催者であるNPBの貴重な収入源だからだ。ちなみに球宴は名目上で「セ・パ両リーグ 球団共催」となっているが、実際のところ収入の流れに関してはグレーゾーンで「NPBにそのほとんどが入る仕組み」だとささやかれている。
その収入内訳で一番大きいのは言うまでもなくテレビ局から入る放映権料。近年は降下の一途とはいえ、それでも球宴の地上波放映権料は現状で1億円近くにも達すると言われている。
そしてチケット収入だ。普段の試合よりも高く設定された球宴の入場料は3000円〜1万円。2〜3万人のファンが集まれば、相当な収益となる。これらに球宴限定で販売されるグッズの売り上げなども合算すれば、だいたい2〜3億円ほどの収入が見込めるというわけだ。これは毎年のように「金欠」とささやかれるNPBにとっては、とてつもなく大きい。「せっかくの稼ぎ口が、たった1試合だけではもったいない」というのがNPBの紛れもない本音なのである。
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