プロ野球のオールスター戦が、つまらなくなった理由臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2014年07月24日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

NPBの台所事情は火の車

(出典:NPB)

 NPBは毎年集まる12球団からの分担金(1球団につき約7000万円)に加え、球宴と日本シリーズ第4戦以降の収入によって運営されている。しかし一昨年まで4期連続赤字を計上するなど、財政状況は決して磐石ではない。野球日本代表の「侍ジャパン」を常設して別会社を設ける形で事業展開し、その収益を得るプランが進行している。

 しかし、これについても球界内では「そもそも他国は野球の代表チームを常設していないのだから、WBCなどの国際大会以外の時期ではお祭りムードの親善試合しか組めない」などと言われているのが現状であり、本当に侍ジャパンの人気が定着して大きな収益が得られるかは疑問だ。台所事情が火の車だからもうけ主義に走る――そういう旧態然とした取り組みしかできない姿勢だからNPBは、球宴1試合制の導入にも頑なに「NO」なのだ。

 本来ならば、一刻も早く球界全体で母体となっているNPBの利益確保のシステムにメスを入れ、もっと斬新な方法を作り出せるような構造改革をしなければいけないはず。しかし各球団の幹部は自軍球団の存続ばかりにしか目が行かず、球界の頂点にいるはずのコミッショナーも毎度のごとく“お座なり”の連発だ。この調子では球宴が、実はプレミア感を失っているという現状に誰も気付いていないのかもしれない。マンネリズムを生み出せば、ファンに飽きられて近い将来に必ず致命的な歪(ひず)みとなる。もっと危機感を覚えるべきだ。

 対照的にプレミア感を保つ球宴は米MLB(メジャーリーグ機構)が長年に渡り、実施し続けている。毎年1試合制(約50年前に数年間のみ2試合を開催した)を徹底させ、試合会場はメジャー各30球団の本拠地を持ち回りとしている。年に1度、そして本拠地の地元ファンにとっては30年に1度の球宴だから文字通りの「夢舞台」だ。

 しかもアメリカン・リーグとナショナル・リーグの選抜チームの対戦で勝ったほうのリーグに所属するチームが、その年のワールドシリーズでの開幕試合開催権を得る。2003年から採用されているホームアドバンテージルールによって、米メジャーの球宴には真剣勝負の色合いがより濃くなった。そのすべてを模倣することは難しいとは思うが、NPBは多少なりとも参考にするべきだろう。

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