本連載は、本田哲也、田端信太郎著、書籍『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋、編集しています。
映画『アナと雪の女王』は、なぜ1000万人を動かしたのか?
LINEは、なぜ4億ユーザーの心をつかんだのか?
誤発注されたプリンは、なぜ完売したのか?
インターネットの普及などにより流通する情報量が爆発的に増える一方、生活者はネットやHDDレコーダーなどを活用し、自分で情報を選択するようになっています。そんななか、旧来のマス広告やメディア露出では、昨今、人は動かなくなっています。
大々的な広告キャンペーンやメディア展開をせずに人を動かすことに成功した事例を、1000人、1万人……、1億人、10億人と、スケールごとに分析。生協のプリン誤発注からアナと雪の女王、LINEまで、そのヒットの秘密を探っていきます。
広告・メディア業界人はもちろん、企業経営者、マーケティング担当者も必読の一冊です。
スマホ向け無料通話・メールアプリ「LINE」は2011年6月23日に無料メッセージサービスとしてスタートし、同年10月に無料通話、スタンプ(※1)機能などの大規模な機能拡充を実施。サービス開始から3周年を迎えた2014年6月23日現在、ユーザー数は4億7000万人を突破した。国内利用者は5000万人を超え、じつに日本人の2人に1人がLINEを使っている計算になる。
ユーザー数が1億人突破するまでには、およそ1年7カ月かかったが、その後急激にユーザー数の伸びが加速した。2013年11月に3億ユーザーを突破して以降は、東南アジアやスペインなどユーザー数が多かった国・地域に加え、北米や西ヨーロッパなどでも利用が拡大。グローバルで1日最大約170万人の新規登録を記録するなど、全世界的にユーザー数が増加している。現在では約230の国・地域で使われており、海外の利用者が全体の8割以上を占める。登録ユーザー数が多い国は日本のほか、タイ(2400万人)やインドネシア(2000万人)、インド(1800万人)など。米国やメキシコ、韓国、マレーシアも1000万人を突破した。
LINEの最大の特徴はスタンプを送り合うことに代表されるコミュニケーションの手軽さにある。従来の電話や短文テキストでのやりとりに加え、タップひとつでスタンプを送り、「かわいい」「残念」など自分の感情を表現できる。「LINE利用動向調査報告書2013」(インプレス)によると、スマートフォンユーザーのうち、10代女性のLINE利用率は73.0%にも達し、20代女性も64.8%。男性においても若年層の利用率が高く、10代男性で50.2%、20代男性54.8%と、半数を超えた。30〜50代においては、おおよそ3割程度の利用率となった。
LINEは友人同士や趣味仲間、ママ友など、コミュニティ内の連絡網として活躍。「友達と連絡をとり合うためにLINEを始めた」「LINEを使えるようにガラケーからスマホに変えた」という人も多い。
こうしたユーザー数の増加にともない、LINEでのコミュニケーション量も次第に増えている。2014年の全世界での1日のトーク送受信数は1000億件、同スタンプ送受信数は18億件、同通話回数は1200万件以上と、過去最大値をそれぞれ記録した。
企業のマーケティングにLINEを活用する動きも活発化している。ビジネスアカウント「LINE@」の開設数は2014年6月2日の時点で、累計4万件を突破。LINE@を利用してクーポンやセール情報を発信したり、ユーザーからの問い合わせ対応をするなど、LINE@経済圏は拡大中だ。
また、2014年4月には世界中のユーザーがLINEスタンプを制作、販売することができるプラットフォーム「LINEクリエイターズマーケット」を開設し、話題となった。制作したスタンプは審査後、「LINEウェブストア」やLINE内スタンプショップで販売、購入できる。スタンプが売れると、販売額の約半分がクリエイターに支払われるという仕組みだ。6月7日の時点で登録クリエイターは8万人、登録スタンプ数は1万2000セットを超えた。
コミュニケーションアプリの競争が激化するなか、LINEの森川亮社長は2014年中に世界5億ユーザー達成を掲げた。さらに、2015年には2ケタを目指したいと語ったとも報じられている。
ざっくり言うと……
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング