クリーンディーゼルエンジンを搭載したデミオがデビューするなど、ますますそのラインアップの魅力が増しているマツダ。先にフルモデルチェンジされた新型「アクセラ」も人気が高く、グローバル販売台数は対前年比で6%増の31万9000台(2014年4〜6月期)を記録するなど、ここのところの業績も好調だ。そんなマツダの勢いの源となっているのが、モノづくりにかける情熱やチャレンジ精神あふれる社風である。このマツダのモノづくりにかける情熱の表れのひとつが、生産ラインのあちらこちらで見られる「からくり改善」である。
「からくり改善」とは生産ラインの作業の中で問題点を改善し、よりより作業環境を作り出す取り組みのこと。そのために電気などの動力を使うのではなく、重力のような自然のエネルギーを使い、単純な仕組みの道具を自分たちの手で考え、作り、使って工夫をしていくというものだ。もともとマツダではTPM(Total Productive Maintenance)活動として生産ラインの改善を行っていたが、それを江戸時代の“からくり人形”のように、シンプルな仕組みで自然の力を利用することができないかと1995年頃から取り組みを始めている。
こうしたマツダの「からくり改善」のひとつが「ボルト戦隊 取れるんじゃー」だ。生産ラインの中で、ボディに取り付けたドアをいったん外す工程があり、そこで電動工具を使ってボルトを外すという作業を行う。その際、電動工具の先に磁石で付いたボルトを人の手で外していたものを、蝶番(ちょうつがい)とバネを組み合わせた部分に電動工具の先を入れるだけで自動的に外れるようにした。このからくり改善の導入で、作業時間は0.6秒短縮され、手でボルトを外すという作業者自身の負担も軽減された。
「アイデアのヒントはUFOキャッチャーのクレーンです。1週間くらいで設計をして、からくりの制作に必要な蝶番やバネといった材料は街のDIY店で調達し、8時間ほどで作り上げました。“取れるんじゃー”は、広島弁の語尾でよく使う“じゃー”にかけています」(本社工場第1車両製造部の俵賢一氏)
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