買い物直後にクーポン配信、JCBがクレジットカードで「O2Oビジネス」を始めたワケクレカ業界に訪れる変化(2/3 ページ)

» 2014年11月06日 08時30分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

ビッグデータに基づき、ターゲティングを改善

 こうした新規性は、加盟店にも新たな価値を与える。配信したクーポンにどれだけの会員が興味を示したか、それはどの年代のどんな客なのか――というクーポンの利用データを加盟店側にリポートとしてフィードバックする。

 「リポートでは、ギフトの開封率や利用された時間帯、性別や年代、居住地域、カードのグレード、クーポンを配信するきっかけとなった店の業種といった情報をまとめています。リポートをもとにクーポンを改善するといった、次のアクションにつなげてもらうことが目的ですが、加盟店は特に、利用客がどこから来たのか、自分の店に来る前にどこにいたのか、といった行動データを知れるところがうれしいようです」(川口氏)

 また、クーポンの配信条件を加盟店側で指定することも可能だという。例えば「グルメカテゴリの情報を希望している、20〜39歳の女性」といったものだ。今後は居住地域やカード利用動向といったデータに基づいた指定も行えるようにすることで、加盟店側が望む客層に狙いを定めたマーケティングを支援する。より多くのデータが蓄積されれば、よりターゲティングの精度も上がっていくそうだ。

photo イマレコ!とクーポンサービスの違い

 あたかもジェーシービーが、加盟店の集客についてコンサルテーションをするような形だが、これも競合他社との差別化ポイントだ。川口氏は「『従来のクーポンサービスを使ってクーポンを出してみたが、結局、長期的な集客に結びつかなかった』という店舗の話もよく聞きます。そういったところからの反応はいいですね。ギフトの改善を通じて、長期的に加盟店との関係を作っていけるのもメリットになります」と語る。

 イマレコ!に参加する加盟店は、TSUTAYAや小田急百貨店、ビックカメラ、新宿タカシマヤなど大型店舗が多い。11月以降も伊勢丹、丸井といった百貨店を中心に100店舗以上が参加する予定だ。このサービスは特に百貨店からの引き合いが強いという。

 「百貨店は各店でポイントカードを発行するなどして、すでに囲い込んでいる客がいるのですが、それ以外の人々にどうアプローチするか悩んでいた面がありました。そこでJCBカードを使い、さらに客層を広げられればという狙いがあるようです」(井上氏)

 この実証実験は2015年3月まで実施する。その後は実験の結果を踏まえて、本格的な展開を計画しているという。エリアも新宿から広げる予定だ。実証実験では無料で展開している本サービスだが、今後は収益化も視野に入れる。まだ検討段階ではあるものの「より機能を追加した有料版を出すフリーミアム制や、加盟店への送客による成果報酬など、さまざまなパターンが考えられる」(花田氏)という考えだ。

 「今までのクーポン系サービスは、ユーザーにクーポンの使用を強要するものでした。イマレコ!では、いかにユーザー個人個人のニーズに合った“提案”ができるか、新しい顧客体験を作れるかを目指していくつもりです」と花田氏。

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