ビッグデータを包括的に支援する「vRAMcloud」を発表 日立第一弾は金融機関向けに

各種ソフトウェア製品と新たなフレームワークを組み合わせたビッグデータソリューションを日立が発表した。まずは金融業界に提供を開始する。

» 2012年03月27日 12時50分 公開
[ITmedia]

 日立製作所は3月27日、企業のビッグデータ活用を支援するソリューション「vRAMcloud」を発表した。まずは金融機関向けに提供を開始し、その後、交通や流通など他業界への展開を進めていく。

vRAMcloudのソリューション概要(出典:日立製作所) vRAMcloudのソリューション概要(出典:日立製作所)

 vRAMcloudは、構造化データやSNSなどの非構造化データを含めた企業内外の大量データを統合的に管理するとともに、データの特性に応じてストリームデータ処理やバッチジョブ超並列処理などを実現する情報処理基盤構築ソリューション。具体的には、分散キャッシュソフトウェア「VMware vFabric GemFire」を中核に、レコメンド分散処理を行うオープンソースソフトウェア「Hadoop」、CEP(複合イベント処理)製品「uCosminexus Stream Data Platform」、バッチジョブ分散処理ソフトウェア「uCosminexus Grid Processing Server」、運用管理ソフトウェア「JP1」などと、これらの製品間をつなぐvRAMcloudフレームワークで構成される。

 今回新たに開発されたフレームワークは、大量分散データ処理のためのさまざまな設計技法やドキュメント群、ストリームデータやインメモリデータ、ファイルデータ、データベースデータなどの特性を維持したままそれらを統合的に管理する共通接続インタフェースを持つため、大量データを分析するアプリケーションは各種データの所在を意識することなく、目的のデータへアクセスできる。フレームワークを活用することで、システム構築にかかわるコストを3分の2程度に抑えることが可能だとしている。

 vRAMcloudは従来のRDB(リレーショナルデータベース)と比較して、拡張性の高さとコスト抑制に特徴があるという。分散キャッシュや仮想化技術を活用することでシステムを数百台以上に拡張しても処理能力を向上できるプライベートクラウド基盤を構築するほか、大量データを人手で割り振るのではなく自動的に各システムへデータを再配置できる。コスト面では、システム拡大とともにソフトウェアのライセンス費や保守費が増加するRDBと比べて、運用コストを半分以下に抑制できるという。

さまざまな業務で活用可能(出典:日立製作所) さまざまな業務で活用可能(出典:日立製作所)

 導入効果に関して、同社が行った実証実験によると、1000万人以上の大規模な顧客情報に対するあいまい検索や範囲検索など複雑な検索において、RDBで約10秒かかっていた検索時間を1秒以下に短縮したほか、バッチ処理性能が80倍以上に向上したという。これにより、金融機関におけるコールセンター業務や窓口業務の迅速対応、夜間バッチ処理の高速化などの効果が見込めるという。

 vRAMcloudの提供に際して、ソリューション導入の可否や費用対効果の算定を行う「導入診断コンサルテーション」、ソリューション導入を支援する「導入コンサルテーション」、フレームワークを活用して既存の業務システム連携を含めた高品質システム開発を支援する「システムインテグレーション」、既存システムのマイグレーションを実施支援する「既存システムマイグレーション」といったサービスを用意する。

 同社は、2015年までにvRAMcloud関連で200億円の売り上げ目標を掲げる。

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