広告の表現においても、利用者の心理に照らしたものが数多くある。例えば、「借金」の暗さを払しょくする明るいトーン、利用者に「借りる言い訳」を与える利用シーン、みんなが気軽に利用しているというポピュラー感など。
さらに、コピーにも工夫を凝らす。無担保のキャッシングも、今や300万円とか500万円とか借入額の上限が高くなってきているが、以前行ったテストマーケティングでは「500万円まで貸せます」というより、「1000円からのお借入れ」と謳(うた)ったほうがはるかに新規の申し込みがあった。これは「借金」の大きな金額に対する「恐れ」をよく表している。
貸付上限の金額が大きいほど「返せるのかしら!?」という不安も同時に高まるのである。しかし、これは逆に言うと「少しの借り入れだったら大丈夫」という心理が人間にはあるので注意が必要だ。
また、同じローンでも住宅ローンはPCからの問合わせや申込みが多く、キャッシングは携帯やスマホからの申込みが多いという事実がある。確かに住宅ローンはじっくり比較検討して時間をかけて選ぶもので、結果PCの利用が主となるが、キャッシングは急にお金が必要になる場面が多く、いわば衝動的に手元にある形態やスマホで申し込んでしまうのだ。そこにある心理はちょっとしたパニックと言っていい。実際に、消費者金融での新規申込みの際に他社比較検討や金利比較はあまり行っていない(つまり貸してくれるところであればどこでもいい)という心理を反映した調査結果もある。
ちなみに50%近くの人が、思い立ったその日のうちに申し込みをしている。つまり、「急いでお金を工面しなくては!」という焦りが、人々の冷静な判断を狂わせるのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング