森永賢治(もりなが・けんじ)
1992年、ADKに入社。通信、食品、化粧品、ファッション関連商品のマーケティング・ディレクターを経て、1999年「金融プロジェクト」リーダーに就任。現在、ストラテジック・プランニング本部長(金融カテゴリーチーム・リーダー兼務)。JMAマーケティングマイスター。
金融関連の広告を手掛けて15年。人々の意識や行動をつぶさに観察していると、いろいろなことが分かってきた。
金融は、色や形や匂いのないもので、ある意味、「価値そのもの」であるから、「お金」に向き合う人々の心理や性格を面白いように映し出す。そこには、プライドや自己顕示、はたまた不安と恐れという感情も絡み合い、複雑で多様な「行動」につながっていったりもする。我々は、そういったお金にまつわる意識と行動特性をとらえ、広告をはじめとするコミュニケーション活動に生かしているわけである。最近では「行動経済学」といった呼び名で学術的な側面から語られることが多いが、今回のシリーズは実際の現場観察&分析から話をしていきたい。
全7回に渡るシリーズの基本テーマは「お金もセンス」。お金の話となると、どうしても難しく語られがちで、特に金融リテラシーのあまりない日本人にとっては敬遠しがちなものだが、実は、お金との関係は、ちょっとした「センス」を持つことで、非常にスムーズになるのである。お金とうまく付き合い、幸せな毎日や人生を送っている人の多くは、「お金の知識」ではなく、「お金のセンス」をたまたま持ち合わせた人である。実は、日本人は、この「お金のセンス」のない人が多い。
このセンスを身につけるのにはどうしたらいいのか。そのための第一歩は、お金が及ぼす人々への心理と行動をきちんと理解することである。
さて、ここで「借金」の話である。「お金もセンス」というと、貯蓄や投資のノウハウかと期待された方も多いと思うが、実は、お金に対する人間の業(ごう)というか、本性に向き合わされる瞬間は、「お金を借りる」時である。
自分とは関係ないという人もいらっしゃるだろうが、そんなことはない。住宅ローンやマイカーローンもりっぱな借金である。
キャッシングやカードローンも20〜50代で約30%が利用経験者である。親や友人にお金の無心をした人を入れると、「無借金」な人生を送れる人はごくごく少数ということになる。つまり、ほとんどの人が直面するテーマなのである。
今回は、特に、キャッシングにおける人々の心理と行動をご紹介する。そして、その中で、どうしたら「借金」とうまくつき合っていけるかを感じ取りその「センス」を身につけてもらいたい。
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