「日常生活を豊かにしたい」「年金収入だけでは不安」。こうした考えから共働きする高齢者が増えているという。
総務省の労働力調査によると、2014年4〜6月の「共働きシニア」(農林業を除く)は前年同期比11.9%増の66万世帯となり、過去最高を更新した。中でも妻が65〜74歳の世帯でみると、共働きシニアはこの10年間で30万世帯近くも増えており、高齢の夫婦8世帯に1世帯が共働きなのだという。
その要因は、働く高齢女性の増加だ。65歳以上の就業者は前年同期から7.7%増えていて、女性の伸びが9.8%増と男性の6.6%増を大きく上回った。特に介護、製造業、流通業など人手不足が深刻な業種で女性の就労増が目立っている。
こうした社会背景の中、居酒屋チェーンなどを展開するワタミの子会社であるワタミタクショクが60〜70代の高齢者600人を対象に実態調査を行った。
調査によると、共働きでメリットを感じるのは、「収入が増える」が最も多く26.6%で、「生活にメリハリが出る」(22.4%)、「お互いの趣味や世界を持てる」(17.6%)が続いた。
共働きで得た収入の使い道について尋ねたところ、「生活費」が51.2%でトップ。次に30.0%で「趣味」、9.8%で「貯蓄」となった。
平均勤務時間に関しては、「8時間以下」が24.7%と最も多く、以下、「3時間以下」(15.3%)、「6時間以下」(14.7%)、「4時間以下」(13.3%)となった。一方で、理想的な勤務時間は「6時間以下」が21.3%でトップだった。
高齢者が仕事を選ぶ際に重視することは何か。調査結果では、「健康的に働ける」が60.2%で1位、2位は「自分のペースにあった働き方」で59.8%、3位は「やりがい」で48.0%だった。収入やキャリアといった若者が選択するような回答ではなく、無理なく働くというような回答が上位にきた。
ただし、収入も大きな目的には変わりない。生活を維持するのに年金だけで足りるかどうかを尋ねたところ、平均で月11万9000円足りないという調査結果が出た。夫は厚生年金、妻は国民年金という平均的な夫婦の場合、2012年度実績で平均20万3278円となっているため、毎月30万円以上の支出を見込んでいる世帯が多いことが分かった。
少子高齢化による日本の労働力低下が叫ばれる中、今後も共働きするシニアは増えていく傾向にありそうだ。
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