豊かさを得た消費者の嗜好(しこう)が、「安さ」一辺倒から「品質+安さ」重視に転換していることについていけず、また、家電やアパレルの専門店など競合の成長に対しても有効な策が打ち出せずにいた。その結果、ずるずると業績悪化を続けていき、最終的に、2004年の産業再生機構による支援を経てグループ解体に向かっていった。
成長していたころのダイエーは時代の旗手であり、中内氏が繰り出す施策はどれも当時の小売業界ではとがった存在だった。しかし、中内氏が事業の目標とした国民の豊かさが実現した後、次の目標を見つけられず、その後の経営体制も過去の遺産を食いつぶすだけで、新しいコンセプトを打ち出せなかった。
このように革新性を失ったダイエーは存在価値が無くなり、時代の大きな流れに飲み込まれていくしかなかったのである。
結局、中内氏のカリスマによって事業拡大したダイエーは、そのカリスマ体制から脱却できないことで衰退の路を早めた。その系譜は多くの組織にとって参考になるのではないだろうか。
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