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» 2014年12月04日 08時00分 公開

2年半の摩天楼生活で、イチローがヤンキースの面々に見せた“流儀”赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

[臼北信行,Business Media 誠]

イチローの知られざる素顔

 「イチローと接していて彼を日本人と思ったことはなかった」と打ち明けたのは、7年連続で30本塁打・100打点という記録を残し、ヤンキースのクリーンナップを任されているマーク・テシェイラである。彼もまた、イチローの知られざる素顔についてこう明かした。

 「立ち居振る舞いが、まるで米国人のようなんだよ。日本人である彼にとって、ここ(米国)は外国。少しは緊張感や物怖じのようなものが出ても不思議はないのだけれど、いつも彼はここが母国であるかのように堂々としている。アウェーではなく、ゆったりとホームの感覚を保ち続けているんだよね。どうやったら、あれだけのタフネスな精神力を養うことができるのか。一度、彼に聞いてみたら『オレは全然普通だよ』って言われた。いや、絶対に普通じゃないよね(笑)」

 そして最後にテシェイラはジーターが口にした言葉を借りながら「彼はスペシャルどころか、スーパーな存在だよ」とも言い切った。

 決してリップサービスではないことは、お分かりいただけると思う。ヤンキースの面々は誰もがイチローに対し、いつも尊敬の念を持って接していたのだ。そうでなければスーパースターのジーターやテシェイラが社交辞令的なコメントではなく、ここまで長々とリアル・イチローを語るはずがない。

 誇り高きピンストライプ軍団のスーパースターたちに、これだけイチローが敬意を払われるのはプレーだけでなくグラウンド外でも「一流」の立ち居振る舞いを見せているからだ。チームメートとは基本的に通訳を使わず英語で会話し、ワンプレーや試合における戦略的なことまで細かく議論する。そして余りに熱くなり過ぎて相手と口論になることも何度かあったというが、ラストは必ずお互いにシェイクハンド。

 「メディアに対して英語で話すと微妙なニュアンスが伝わらない可能性があるから、ボクは通訳を通じて日本語で話しますよ。でもフェース・トゥ・フェースで会話する時に通訳を間に挟むと相手に気持ちが伝わりにくいでしょう。だから(英語で話していて)もしカーッとなってしまっても、最後は握手できるんです。心は通じ合っているはずですから」とはイチローの弁である。

 英語を流暢(りゅうちょう)に駆使するだけでなく、中南米出身の選手たちにはスペイン語でも話しかける。加えてウィットに富んだジョークも言う。いつもガチンコでチームメートと向き合い、喜怒哀楽を分かち合うからこそ相手に本心が伝わり、大きな信頼と畏敬を得ているのだ。並の人間では、そう簡単にできることではない。

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