2年半の摩天楼生活で、イチローがヤンキースの面々に見せた“流儀”赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2014年12月04日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 日本の誇る天才バットマンが約2年半の摩天楼生活に別れを告げる。ニューヨーク・ヤンキースからFA(フリーエージェント)となったイチロー外野手が来季から新天地でプレーすることになりそうだ。

 今季は外野手の控えとなる4番手で開幕を迎えながら、主力たちの相次ぐ故障もあって143試合に出場し打率2割8分4厘、1本塁打、22打点、15盗塁の数字をマーク。振り返ってみればレギュラー外野手として恥じないぐらいの十分な成績を残したものの、ブライアン・キャッシュマンGMらヤ軍幹部からは早々と“構想外”を示唆された。

 しかし、アリゾナ・ダイヤモンドバックスやサンディエゴ・パドレスなど複数球団がイチロー獲得に強い興味を示していることから、別のチームのユニホームを着てメジャー14年目の来季を戦うことが確実となっている。

 それにしても、なぜヤンキースはイチローを手放そうとしているのか。球団側は今季終盤に「外野の控え選手」としてメッツから獲得したクリス・ヤングとの契約延長を完了させた。ヤングは今季23試合出場の短期間ながらも71打数20安打(打率2割8分1厘)、3本塁打、10打点の好成績を残しており、しかもまだ31歳。天秤(てんびん)にかけられたイチローは来年で42歳を迎える年齢面がどうしてもネックになってしまったようだ。

 だが退団確実となったとはいえ、ニューヨークでイチローの来季残留を求める声はいまだに絶えることがない。特に現場で一緒に戦っていた他の主力選手たちは、この2年半でイチローがチームにもたらした貢献ぶりを賞賛するとともに、実はかけがえのない存在であることも口々に訴えている。同じピンストライプのユニホームを身にまとっていたチームメートたちの様子を取材してみると、実はヤンキースにおける“イチローの軌跡”が日本でほとんど報じられていないことに驚く。

イチローは来季、どこでプレーするのか(出典:ヤンキースの公式Webサイト)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.