回転ずしチェーンのアジア進出が活発になっている。
最大手の「あきんどスシロー」は、2011年に韓国に初出店し、現在7店舗を展開している。業界に先駆けて1993年に海外展開をスタートした「元気寿司」は、アジア地域においては中国で39店舗、香港で69店舗、シンガポールで2店舗、インドネシアとタイで1店舗(数字は2014年9月末時点)と、積極的な出店攻勢をかけている。
そして、業界2位の「無添くら寿司」も2014年に台湾へ初進出し、12月16日に第1号店となる「松江南京店」を台北市内にをオープンした。
各社が海外展開を加速する背景には、国内回転ずし市場の成長の鈍化などがある。外食大手・コロワイドによる「かっぱ寿司」の買収(関連記事)もその表れだろう。
今回、くら寿司はなぜ台湾を進出先に選んだのだろうか。くら寿司を運営するくらコーポレーションの広報によると、日本の文化に馴染みが深く“親日派”の多い国であることが大きかったという。
実際、台湾には日本式の飲食店も多いわけだが、中には日本料理と似つかないものもある。そこで日本の外食チェーンが日本と同じような料理を出せばビジネスチャンスは十分にあるだろう。例えば、くら寿司の新店舗近くにある定食チェーン「やよい軒」は、現地相場より高価格設定にもかかわらず繁盛しているようだ。
親日派であることの利点は対消費者だけでなく、現地のビジネスパートナーに対しても大きく、ビジネスがスムーズにいくことが多いという。例えば、出店場所の候補選びや土地の契約などに便宜を図ってくれることがあるようである。
また、くら寿司は、約2年前から台湾政府に企業誘致を受けていたことなども、台湾進出の理由に挙げている。
加えて、台湾は以前から地元企業の「争鮮回転寿司」(SUSHI EXPRESS)が人気で、台湾で約200店舗、中国や香港、シンガポールでも合わせて約100店舗を展開している。このような現地の消費者ニーズの高さも要因だとしている。
こうした理由から、くら寿司では、今後アジア地域への出店を加速する上で台湾を足掛かりにするのが最適だと判断した。
くら寿司は米国でも7店舗を運営しているが、日本で提供するタッチパネルを使ったゲーム「ビッくらポン!」や、皿回収システムなどの店舗機能はない。松江南京店では海外店舗として初めてこうした“日本式”の機能を実装した。
新店舗は約170坪の面積に150席ほどを設ける。すしメニューの価格は1皿40台湾元(約150円)。2015年中にはさらに3店舗の開業を計画している。出店場所は台北市内にこだわらないとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング