スカイマークがJAL、ANAとの“二股提携”を模索――その真相は?前代未聞(2/3 ページ)

» 2014年12月22日 14時13分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

スカイマークの「第三極」としての存在価値は消滅?

――スカイマークの「第三極」としての存在価値は消滅する?

Answer: 航空法の規制緩和を受けてスカイマーク、エア・ドゥ、スカイネットアジア航空(現ブランド名はソラシドエア)、スターフライヤーの新興エアライン4社が誕生したのは、1990年代後半から2000年代初めにかけてだった。各社とも既存大手より大幅に安い運賃を打ち出して利用者の支持を集めたものの、迎え撃つJALとANAも新興エアラインと競合する路線にのみ同レベルまで割引した運賃を設定して対抗。大手が巨大資本を振りかざして土俵から引きずり落とそうという行動に出たわけで、これには体力に劣る新興勢力はひとたまりもない。結果、エア・ドゥは2002年6月に、スカイネットアジア航空も2004年8月に経営が破綻してしまう。両社ともANAの協力を得て経営再建に着手し、スターフライヤーもANAと提携することで生き残る道を選んだ。

 大手に真っ向から勝負を挑む新興勢力はただ1社、スカイマークだけになってしまった。同社の西久保慎一社長は(参考記事)、「スカイマークが消えてなくなれば航空業界は10年前に戻ってしまう」と、大手の出資を受けて傘下に入ることを断固として否定。JALやANAとの資本提携ではなく、コードシェアにこだわった理由もそこにある。経営の独立は何としてでも維持していきたい意向だ。

――コードシェア(共同運航)の仕組みは?

Answer: 1つの便に提携する複数の航空会社がそれぞれに自社の便名をつけて座席を売るのがコードシェア(共同運航)だ。自社の航空機を運航する側はパートナー会社に座席の販売を支援してもらう結果になり、パートナー側は機材や乗員のコストを抑えながら運航数や路線を増やして“見かけの輸送力”を拡大できるというメリットがある。

 コードシェアには、2つのやり方がある。提携している航空会社でセールスする座席の配分を決めずに自由に売っていく方法と、双方で配分を決めて売る方法だ。スカイマークが今回、JALとANAとの間で交渉を進めているコードシェアは後者で、JALとANAにスカイマーク便の座席の20%を割り当てる。いわば、JALとANAが20%の座席を買い取る形である。

 スカイマークの全路線の搭乗率は2014年10月の時点で66.6%、羽田線だけに絞ると73.8%になる。コードシェア提携によりJALとANAが座席の20%買い取ってくれれば、搭乗率は一気に90%台に上がる。経営的にも今よりかなり安定することは間違いない。

「航空業界を10年前の時代に戻してはならない」と話すスカイマークの西久保慎一社長

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