東京は上海に勝てるのか? モーターショービジネスを考える池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)

» 2015年01月23日 04時00分 公開
[池田直渡,Business Media 誠]
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東京モーターショーが目指すべき道は?

 東京が国際格のモーターショーであり続けるには、「アジア全体のための東京モーターショー」への道を模索するしかない。おそらく、中国という巨大マーケットを背景に持つがゆえに、上海はそうはなれないだろう。現在のところアジアNo.1モーターショー争いにはまだ市場規模以外の要素がなく、その点東京は不利だ。しかし欧州で起こったことを念頭に置けば、遠からず地域公益性が大きな意味を持つ時代が必ずくるだろう。

 アジアには成長著しい魅力的なマーケットが沢山ある。インド、韓国、タイ、インドネシア。アジアパシフィックとして見ればオーストラリアも入ってくる可能性があり、自動車産業の成長エンジンとなる素質は十分だ。こうした周辺諸国のモータリゼーションの発達のために役立つ取り組みを行えば、今からでも東京モーターショーがアジアNo.1のモーターショーになる可能性は十分にある。

 懸念するのは、東京モーターショーの主催団体がJAMAだということ。JAMAの役員一覧を見れば歴然だが、日本の自動車メーカーの社長以下重鎮がずらりと名前を連ねている。彼らがどう考えるのか――東京モーターショーにあくまで自社利益を求めるのか、大所高所から日本の自動車産業のプレゼンスを考えていくのか――これが今後、東京モーターショーの岐路を分ける重大なポイントになるはずだ。

 しかし、もうのんびりと考えているほどの時間は残っていない。舵を切るなら、早い方が良いことは間違いないのだから。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

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